滋賀県高島市がばいじんのダイオキシン類を不正に測定

滋賀県高島市は、小浜から京都に通じる鯖街道の中間地点に位置し、琵琶湖と山間の両方の自然が味わえるという、個人的に大変好きな土地ですが
放射性物質で汚染された木くずが不法投棄されたかと思うと、
今度は加害者の立場で報道をにぎわすことになってしまいました。

2014年6月11日付毎日新聞 ダイオキシン:滋賀・高島市が基準超え搬入 神戸の処分場

 近畿2府4県などでつくる「大阪湾広域臨海環境整備センター」(大阪湾フェニックスセンター)は11日、センターが管理する神戸沖埋立処分場(神戸市東灘区)に、滋賀県高島市が基準値を超えるダイオキシンを含む廃棄物を運び込んでいたと発表した。環境への影響はないとしている。センターはダイオキシン類対策特別措置法などに抵触するとして、先月末から高島市の廃棄物受け入れを禁止している。

 センターは、廃棄物の海上埋め立てのために、2府4県や近畿地方の168市町村などの出資で設立された。4カ所の埋め立て処分場で廃棄物を受け入れている。

 センターによると、高島市は2007〜13年度、ダイオキシン類対策特措法の基準値(1グラム当たり3ナノグラム)を超えるダイオキシン類を含むばいじん計613トンを神戸沖埋立処分場に搬入していた。含有量が基準値の17倍に達していた時期もあった。

 センターは年度ごとの契約時、自治体などにダイオキシン類含有量の検査結果提出を求めている。高島市は基準値を超える結果が出た場合、焼却炉を清掃してデータを取り直し、基準値内に収まったデータだけを出していた。今年4月中旬に会計検査院の調査でデータ隠しが発覚した。

 センターによると、受け入れた廃棄物は固形化して埋め立てるため、ダイオキシン類が拡散するおそれはない。問題発覚後、処分場周辺の大気や海水などを調査したが、ダイオキシン類の含有量は基準値を下回っていた。

 高島市の福井正明市長は11日午後、市役所で記者会見し、「改ざんと言われても仕方がない。専門家による第三者委員会を設置し、再発防止に取り組みたい」と陳謝した。関係した職員の処分も検討するという。

言うまでもなく、赤字の部分が高島市の大失態です。

良い悪いという話ではなく、現実問題として、測定値に異常値が出た場合は、高島市と同じように条件を整えてから再測定している事業者は多いものです。

一度この手の不正に手を染めてしまうと、現場で起こっている異常事態がそのまま放置され、小手先のテクニックでその場を切り抜ける体質が身についてしまうことが問題です。

今回は、大阪湾フェニックスを騙してばいじんを埋めさせたことが問題となっていますが、
高島市が繰り返しばいじんの再測定をしなければいけなかった理由も同じくらいに重要です。

「最大でダイオキシン類の含有量が基準値の17倍に達していた時期もあった」とのことですが、
何度も測定をやり直さなければならないほどに、ばいじんの規制値を超過していたのであれば、焼却炉の構造的な故障や欠陥を疑う必要があります。

「炉内を清掃してから再測定した」ともありますので、廃棄物の燃焼が不十分だった可能性もあります。

いずれにせよ、一過性の問題ではなく、焼却炉を稼働し続ける限り常につきまとう問題ですので、今回の事件を契機として、抜本的な改善策を構築していただきたいものです。

 神戸市の久元喜造市長は、市役所で報道陣に「法令を順守するように住民に徹底しなければならない自治体が法令違反をしていた。極めて遺憾で憤りを禁じ得ない」と述べた。

憤る気持ちはよくわかりますが、「法令を順守するように住民に徹底しなければならない自治体」という定義に違和感があります。

この文章のニュアンスだと、「自治体は、住民が違法行為をしていないかを監視し、取り締まる組織」と定義しているように見えるからです。

もしかすると、神戸市長は下記のようなニュアンスで発言したのかもしれません。

「住民にルールを守ったゴミ出しをしてもらうためにも、自治体は法律を遵守するのが当然だ!」

単語の順序を入れ替えるだけで、日本語の印象はずいぶんと変わりますね(笑)。

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