行政対行政の裁判沙汰に(福井県敦賀市キンキクリーンセンター事案)

産廃特措法の対象事案の1つに、福井県敦賀市の民間処分場で起きたキンキクリーンセンター事案があります。

許可容量9万立方メートルという最終処分場に119万立方メートルの廃棄物が埋められたという、非常に悪質な事案。

この事案の特徴的な点は、産業廃棄物のみならず、一般廃棄物も大量に不法投棄されていたということです。

比率的には「産業廃棄物が7割、一般廃棄物が3割」という割合だったとのこと。

廃棄物撤去費の8割は福井県が負担していますが、敦賀市も2割の19億円を負担しているため、この場所に廃棄物の埋立委託をしていた自治体や事務組合60団体に対し、総額13億円の工事費の負担を求めていました。

60団体のうちの29団体は工事費の支払いに応じたそうですが、残りの31団体は求めに応じていないとのこと。

この状態が数年間にわたって続いていましたが、9月に入って事態は急展開し、
敦賀市が、岡山県にある事務組合の「津山圏域東部衛生施設組合」に対し、1億9200万円の工事費支払いを求める訴訟を起こす見通しとなりました。

2014年9月2日 産経ニュース 廃棄物処分場問題で敦賀市が岡山の組合を提訴方針 福井

 許容量を大幅に超える廃棄物が違法に搬入された敦賀市樫曲の民間最終処分場への対策工事の費用負担問題で、市は1日、費用負担に難色を示している事務組合「津山圏域東部衛生施設組合」(岡山県)を相手に、未納の工事費など約1億9200万円を請求する訴訟を起こす方針を明らかにした。

 市は同日発表した9月補正予算案に訴訟関係費60万5千円を計上した。8日開会の9月議会に提案し、予算案が通れば、提訴に向けた準備を進める。提訴は10月以降になる見通し。

 市によると、許容量約9万立方メートルの処分場に搬入された廃棄物は約119万立方メートルで、同組合分は約3万2千立方メートル。処分場の工事費負担をめぐっては、総額約95億円のうち県が8割を負担し、残り2割の約19億円を市が負担。市は市負担分の3分の2(約13億円)については、廃棄物を搬入した自治体や組合の60団体に分担して支払いを要請し現在、ほぼ半数の29団体が納入している。残りの31団体は求めに応じていない。

 市は同組合のみを訴える理由について、31団体で未納額が最も高いことや同組合が平成27年度中に解散することなどを挙げている。

 同市の河瀬一治市長は1日の記者会見で、「非常に残念だが、やむを得ない」と語った。同組合の高井清之事務局長は「費用負担の法的根拠に乏しい」などとしている。

このまま訴訟が提起されれば、
行政同士の金銭訴訟という些末な次元の話ではなく、廃棄物の排出事業者責任に関する重要な判例となる可能性があります。

そう考える理由を、次回の記事で解説いたします。

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