裁断されたお札のリサイクル入札

今回は、いつもの記事とは少し趣が異なるニュースをご紹介します。

2014年12月8日付日本銀行発表 「京都支店銀行券裁断屑リサイクル業務に関する入札実施の件

入札についての公募

平成26年12月8日

 日本銀行京都支店の銀行券(お札)裁断屑をリサイクルするに当たり、一般競争入札への参加者を以下の要領により公募します。

日本銀行京都支店長

1.入札に付する事項
(1)業務案件名
日本銀行京都支店の銀行券裁断屑リサイクル業務
(2)業務案件の内容等
日本銀行京都支店の排出する銀行券裁断屑を全量リサイクルすること。
詳細は入札説明書による。
(3)契約期間
平成27年4月1日から平成28年3月31日まで。
―― ただし、契約の履行状況に問題がなければ、1 年間の契約延長を行う(最大2 回まで)。
(4)銀行券裁断屑引渡し場所
日本銀行京都支店(京都市中京区河原町通二条下ル一之船入町535)
(5)入札金額
入札書には、銀行券裁断屑の収集・運搬費用から、日本銀行京都支店からの銀行券裁断屑買取価格を差し引いた銀行券裁断屑1kg当たりの単価を入札金額として記載すること(消費税および地方消費税を含めないこと)。

bill日本銀行券、すなわち千円札や一万円札などを裁断した物のリサイクル事業の入札です。

ブログでは初めて取り上げますが、銀行券のリサイクル入札は定期的に各日本銀行支店において行われておりますので、珍しい話ではありません。

本来なら、裁断をしない状態でリサイクルを行う方が製品としては高品質な物ができあがりますが、物が紙幣だけに、日本銀行の責任において再使用不可能な状態まで裁断してから原料として渡すということなのでしょう。

さて、では、裁断された紙幣は「産業廃棄物」なのか、それとも「一般廃棄物」なのか?

紙幣も印刷物であり、日本銀行券という名称からして、日本銀行が発行している印刷物のように思えます。

しかしながら、日本銀行券を印刷している組織は独立行政法人の国立印刷局であり、日本銀行は国立印刷局に日本銀行券を納入してもらっていることになります。日本銀行そのものが日本銀行券を印刷しているわけではありません。

また、廃棄する日本銀行券(紙幣)の大部分は銀行等の金融機関から持ち込まれますが、誤って切断してしまった紙幣の交換のために一般国民が持ち込むケースもあります。

そのため、日本銀行が市中から回収した紙幣は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物になります。

日本銀行は、新しい紙幣と引き換えに古い紙幣を無償で回収しているため、紙幣の下取回収と言えなくもありません(笑)。

整理をすると、再使用できない紙幣は、「日本銀行を排出事業者とする一般廃棄物」と考えるのが妥当という結論になります。

今回の入札仕様では、「入札書には、銀行券裁断屑の収集・運搬費用から、日本銀行京都支店からの銀行券裁断屑買取価格を差し引いた銀行券裁断屑1kg当たりの単価を入札金額として記載すること」とありますので、
裁断くずの買取を基本としつつも、リサイクル後の製品価値が低くなるために、回収運賃の方が高くなる「逆有償(←個人的には嫌いな表現ですが)」となることが予定されています。

もっとも、言うまでもなく、紙幣であっても古紙に該当しますので、専ら物としての回収・リサイクルが可能です。

逆有償である以上、一般廃棄物の収集運搬契約が必要となりますが、産業廃棄物処理委託とは異なり書面での契約が義務付けられておりません。

ただし、開札後日本銀行は確実に書面で請負契約を締結することになりますので、収集運搬の委託手続きについての問題も起こらないと思われます。

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