障害者の就労支援を兼ねたPCリサイクル

「障害者の就労支援の一環で、PCの情報基盤の物理的破壊を出張して行うサービスが大好評」というニュースをご紹介します。

2014年12月16日付 障害者がパソコンを回収、基盤をリサイクルする基盤事業「新潟県基盤ネットワーク」が「かもしか病院」のパソコンを大量に回収

障害者がパソコンなどを解体して基盤を取り出す、その名も“基盤事業”に取り組む県内20の障害者施設が参加する「新潟県基盤ネットワーク」(梅沢康宏会長)が16日、医療法人社団しただ(北沢幹男理事長)が運営する「かもしか病院」=三条市長野=の仕事を初めて受注し、同病院が廃棄するパソコン5、60台を回収した。

新潟基盤ネットワークに参加するいずれも障害者就労支援B型事業の「のんびーりAXIS(アクシス)」=新潟市西区寺尾東2=と「またたびの家」=魚沼沼市須原=からそれぞれ利用者と担当職員1人ずつ、計4人が「かもしか病院」を訪れた。

仕事は解体作業なので、そのまま職場に持ち帰ってもできるが、現場で作業することにポイントがある。記憶メディアの破壊だ。パソコンのデータは一般にHDD(ハードディスクドライブ)に保存されている。持ち帰ってデータを破壊すると約束しても、顧客にとっては本当に破壊しているのか、不安が残る。そこで顧客の目の前でデータを破壊しようというわけだ。

集めたパソコンを分解してHDDを取り出し、さらにHDDをドライバーで分解して格納されている磁気ディスクを露出させ、磁気ディスクの表面を直接、ドライバーで傷つける。データをソフトウエアで消去する方法もあるが、それだけではデータを復旧できる場合がある。物理的に破壊することで、二度とデータが読み出せなくなり、情報漏えい対策は万全だ。

「目の前で“わかりやすく”基盤を破壊してくれる」という点が良いですね。

これまで廃棄するパソコンは、総務部の担当者がデータを消去したうえで回収業者にリサイクル料金を払って回収してもらっていた。しかし、今回は大量のパソコンを廃棄するため、途方に暮れていたところ、たまたま参加した就職説明会の会場にPRに訪れていた「新潟県基盤ネットワーク」を知り、さっそく回収を依頼した。

回収料金は無料。しかも自分ではできないHDDの物理的な破壊まで目の前でやってくれる。しかも病院のパソコンには、極めて重要な患者の個人情報が入っており、担当者は「1台ずつ自分のHDDを消去する作業に気が重くなっていたが、無料でここまでやってくれて、いいことばかり」と手放しの喜びようだ。

「新潟県基盤ネットワーク」は「のんびーりAXIS」が3年前に始めた。パソコンなど小型家電品を回収し、解体して基盤などの部品を取り出し、レアメタルを国内のリサイクル業者から引き取ってもらい、その対価を利益とする。パソコン1台で平均1,000円ほどになる。一般に福祉施設での障害者の賃金は数千円ていどにしかならないが、基盤事業は数万円になる。

しかしながら、顧客は情報消去(破壊)サービスに対価を支払う意欲があるように見えますので、無料で出張破壊をするのではなく、些少なりとも出張処理費を徴収した方が良いのではと思いました。

基盤を現場で物理的に破壊するだけであれば、廃棄物処理業にも該当しませんので、法律に抵触することなくサービス費用を徴収できますので。

障害者の就労支援が目的であるとはいえ、無償でここまで高品質のサービスを出張提供するのは、いささかやりすぎの感じもいたします。(^_^;)

見方を変えると、他の地域においても、同様の事業を障害者の就労支援策として行うことはそれほど難しい事ではありません。

それゆえ、適正な出張処理費を徴収すれば、障害者の方の収入をもっと増やすことが可能ということであり、
障害者の方の資質や個性を生かしながら賃金収入を増やし、顧客にも喜ばれるという、明るい可能性を見せてくれています。

リサイクル業者のなかには、発展途上国に運んで不法投棄するところもあるが、「新潟県基盤ネットワーク」は国内の大手リサイクル業者と取り引きしているので、環境破壊のリスクもない。また、福祉施設では、ものづくりの仕事を行っているところもあるが、「壊すのはおもしろがってやってくれる」と「またたびの家」の木曜工賃達成委員、大桃秀司さんが話すように、利用者にも向いており、数多くのメリットがある。

「単調な作業を繰り返し行うことが苦痛ではなく、むしろそれが安心感につながる」という個性を持った障害者の方(注:障害者全般に対する言及ではなく、個々の人間のパーソナリティについての言及です。もちろん、単調な作業を苦痛と感じる方もおられます。)の場合は、こうした基盤破壊は最適の仕事となります。

上述したように、情報基盤の出張破壊等は、障害者の方自身が自分の給料を稼げる事業ですので、他の地域、就労支援団体、PCリサイクル会社においても、是非とも同様の取組みを進めていただくことを切に希望しております。

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コメント

  1. 古谷拓也 より:

    『障害者の就労支援を兼ねたPCリサイクル』

    出向いて行って、現地解体してHDを壊して、有価物として運べるものと
    廃棄するか二次処理を委託しないと処分できないものは、マニフェスト搬送を現地で行うのでしょうか?

  2. 尾上雅典 より:

    古谷 拓也 様 コメントいただき、ありがとうございました。

    報道の引用に過ぎませんので、事業の詳細は把握しておりませんが、
    少なくとも、金属くずとして売却可能な物ですので、廃棄処分すべき部品はほとんど無いのではないかと思います。

  3. 大桃秀司 より:

    尾上雅典様
     新潟県基板ネットワーク 大桃秀司です。
    私たちは廃棄物業者ではありませんので、解体して価値の生まれるパソコンやファミコンなどしか取り扱っていません。
     ご想像のとおり、解体後はほとんどを金属として売却しておりますし、プラスチックも種類別に分別してリサイクルしています。ですので産廃として処理してもらうのは、フィルム、スポンジ、シールくらいで、月に10kgにも満たない量です。それに対して解体するパソコンは月に500台程度です。

  4. 尾上雅典 より:

    大桃秀司 様 コメントいただき、ありがとうございました。

    当事者の方からの補足のコメントをいただき、大変感謝しております。

    当方の想像が間違っていなかったようで安心いたしました。


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