三重県尾鷲市の不法投棄事件 元請は不起訴に

当ブログ2015年2月17日付記事 「元請業者が不法投棄を指示か(三重県尾鷲市不法投棄事件)」の続報です。

2015年3月25日付毎日新聞 尾鷲の学校廃材不法投棄:元従業員略式起訴 区検 /三重

 尾鷲市の中学校舎の建て替え工事に伴う廃材不法投棄事件で、津区検は24日、廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で逮捕され、その後釈放された工事の下請け業者「大成産業」(松阪市)の元男性従業員(52)と同社を略式起訴した。同日付で津簡裁から男性に罰金50万円、同社に同100万円の略式命令が出されている。

 また津地検は同日、同事件で書類送検されていた元請け業者2社や、両社の現場責任者ら6人を起訴猶予などで不起訴処分とした。

2月5日付の中日新聞では

容疑者が元請け業者の現場責任者などから指示を受け、組織ぐるみで犯行に及んだ疑いもあるとみて捜査している。

と、元請事業者の責任についてかなり突っ込んだ表現がなされておりましたが、
本当に元請が不法投棄を指示していたのであれば、不起訴処分になることは有り得ませんので、下請である解体業者の独断で行われた不法投棄と考えられます。

ただし、元請が不法投棄を指示したわけではなかったにせよ、元請には排出事業者としての責任がありますので、元請業者の負担において不法投棄物の撤去などが行われたものと思います。

その場合、約500tのがれき類が不法投棄されていたそうですので、
土中からの掘り出しは元請自身が行えるとしても、運搬費や処分費として、500~1,000万円程度の費用負担が必要と思われます。

請負契約である以上、元請の過失で起こった不法投棄の処理費を発注者に対して請求することはできませんので、元請業者は今回の工事では利益ではなく損失を出すことになりますが、措置命令の対象にされるよりは潔く廃棄物を撤去する方が金銭的にも得策と言えます。

また、当たり前の義務ではありますが、「元請が不法投棄を指示した」という疑いをもたれないようにするためには、「許可業者への委託」と「委託契約書の作成と保存」「マニフェストの交付と保存」の3つが必要です。

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