花壇と絵画による不法投棄の防止事例

車の運転手が、道路脇の植栽に吸い殻や空き缶を捨てる光景をそこかしこで目にしますが、
人間の目線を遮る植栽の代わりに、綺麗な花を集めた花壇を設置すると、ごみのポイ捨てが激減します。

花壇による環境整備は全国各地で行われていますが、花壇と絵画の合わせ技で不法投棄を防止するというアイディアは初めてではないでしょうか。

2015年4月30日付 タウンニュース 障害者の絵、花壇に展示中

 (筆者注:横浜市港北区)高田町の住民が設置した花壇に、障害者活動ホーム通所者が描いた絵画が5月17日まで掲示されている。区が主催する「港北オープンガーデン」のコース内にも盛り込まれており、新緑のなかウォーキングがてら鑑賞するのも楽しそうだ。

 花壇設置は、同町在住の古田邦夫さんが代表を務める「高田の丘美化活動グループ」が2004年頃から進めてきたもの。同町天沼住宅街はかつて、夜になると人通りが絶えるのを狙った、車やテレビなどの不法投棄に悩まされていた。古田さんらが中心となり、ごみを捨てにくい環境づくりをめざし、季節ごとに美しい花を咲かせるスイセン、アジサイ、ツツジなどを植えた花壇設置をしたところ、状況は一変。現在では大きく改善されている。

理解深めたい

 下田町にある、港北区障害者地域活動ホームしもだでは、知的・身体障害がある通所者が講師の指導を受けながらイラストなどを描く創作の時間を設けており、その作品は、きれいで独特の色彩感覚を持つ特長的なものばかり。その絵に心を動かされた古田さんが、同ホームに声をかけ、花壇への展示が実現した。 グループメンバーが、絵を飾るべニア板のカットや白色のペンキ塗りなどの下準備を担当。4月上旬から5つの花壇に、通所者の7人ほどがこれまで描き残していた作品のうち、50点の公開を始めている。

 ホームしもだの伊東葉子さんは「通所者の絵を多くの人に見てもらい、障害への理解を深められれば嬉しい」と話し、古田さんは「障害者の人たちに1つの達成感を味わってもらいたかった。どの作品も素晴らしいものばかりです」と目を細める。

横山区長も鑑賞

 10日には、横山日出夫港北区長も現地を訪れている。「不法投棄が絶えなかったこの地域が花壇で再生され、今回、活動ホームしもだ利用者の個性的な絵も展示された。地域の底力を感じた」とコメントしている。

 この高田の花壇は5月15日から17日に開かれる、今年で3回目を迎えた個人・グループが育てた庭を公開する「港北オープンガーデン」のコースにも組み込まれている。

植栽を花壇に変えるだけでなぜ不法投棄が激減するのかについては、心理学的な実証研究が必要ですが、このテーマに関する先行研究があるのかどうか是非知りたいところです。

筆者の大学時の専攻は心理学でしたので、個人的にも大変興味があるテーマですが、花壇の設置費用や場所の確保の他、個人で実験をするには大変な内容ですので、どこかの大学で研究テーマとして取り上げてくれると良いのですが(笑)。

不法投棄の防止だけではなく、良い企業イメージを持ってもらうためにも、絵画は大変有効です。

筆者が見た実例では、「産業廃棄物処理企業の敷地を囲う壁に、近隣の幼稚園児が絵を描いた例」や、「パッカー車の側面全面に地元小学生の絵画を掲載した例」がありました。

いずれの場合も、廃棄物処理事業に対する(謂れのない)誤解や恐怖心を解くことに大いに役立っていますし、近隣関係者の作品を発表するという地元貢献にもなっています。

見栄えの良いホームページを制作することも大切かもしれませんが、
企業の近隣関係者向けのメッセージとしては、実際に誰でも目にすることができる絵画以上の物はなさそうです。

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