ヤマトホームコンビニエンスに見る事業拡大戦略の妙
今朝の日本経済新聞に、ヤマトホームコンビニエンス社が、ネット通販企業向けに家電リサイクル代行サービスを開始するという記事が載っていました。
2015年6月17日 「ヤマト、家電リサイクル代行サービス ネット通販向け」
ヤマトホールディングス傘下のヤマトホームコンビニエンス(東京・中央)は7月からインターネット通販企業向けに家電製品のリサイクルを代行するサービスを始める。冷蔵庫などの大型家電の新品の配達とリサイクルする廃家電の回収に加え、必要な事務代行を一括で請け負う。全国に拠点を持つ強みを生かし、通販企業の手間を軽減するサービスで先行したい考えだ。
(中略)
3品目とエアコンは家電リサイクル法で新品を販売した小売業者に不要になった廃棄品の回収を義務付けており、ネット通販業者は膨らむ処理コストの低減が課題だった。
ヤマトホームは全国約150カ所の拠点を活用して新サービスを展開する。製品の大きさや搬送する距離にもよるが、新品の配達と廃家電の回収・搬送にかかる料金は1万円程度。リサイクルに必要な書類の作成と、リサイクル工場への持ち込みも1台当たり約800円で代行する。ネット通販企業と情報システムをつなぎ、廃家電の搬送状況も把握しやすくする。
(中略)
引っ越しなどを手掛けるヤマトホームは、家電製品の配達や据え付けも担う。リサイクルする廃家電の回収も手掛け、2013年度は約32万台を回収した。これまで新品配達と回収の両事業は別々に営業していた。これに事務代行を加えて一括提供する体制を整え、18年度には回収の取り扱いを100万台に伸ばしたい考えだ。
記事を一読したところ、廃家電回収の際の許可内容が気になりましたので、ヤマトホームコンビニエンス社のコールセンターに「日経新聞の記事を見たのですが」と電話をしてみました。
コールセンターの方の手に余る質問だったようで、折り返し担当の方から電話をいただきました。
以下、教えていただいた内容の要旨。
Q1:廃家電を回収する際には、どのような許可に基づいて運搬されるのですか?
A1:全国47都道府県で、廃家電に該当する種類の産業廃棄物収集運搬業許可を取得しております。Q2:一般家庭から回収の依頼をしても取りに来ていただけるのですか?
A2:申し訳ありませんが、一般家庭からの依頼に基づく回収は行っておりません。
ご担当の方から懇切丁寧にご回答いただきましたので、勝手に上記の法律的エビデンスをお示ししておきます。
まずは、ヤマトホームコンビニエンス社が取得している許可状況について
字が小さすぎて申し訳ありません。詳細は、環境省のサイトでご覧ください。
72件の許可がヒットしましたので、全国の許可をお持ちなのかまでは調べていません(笑)。
次に、「産業廃棄物収集運搬業の許可で、なぜ一般廃棄物である家電が回収できるのか?」と疑問に思う方も多いと思うので、その理由をお示しします。
法令の条文を引用するよりも、経済産業省が作成したパンフレットをご紹介する方がわかりやすいと思うので、以下、該当部分を転載します。
※出典 経済産業省 家電リサイクル法 担当者向けガイドブック(2012年3月更新)
家電リサイクル法の対象品目に限り、一般廃棄物収集運搬業と産業廃棄物収集運搬業のいずれの許可でも運搬できるということです。
再び日本経済新聞の記事に戻り
国内の家電製品のネット通販市場は14年に前年比1割増の約7800億円で、国内家電小売額の10%を占めた。ヤマトホームはほかの大手運送会社グループの回収の取り組みが手薄だと判断。一体サービスにより成長市場でシェア上昇を狙う。
自社のコアテクノロジーである「運輸」を起点とし、そこから周辺のサービス領域に徐々に切り込むという経営戦略は見事ですね。
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2015年6月17日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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