夢のテクノロジー「ドローン」(笑)

最近当ブログで「ドローン」を取り上げる機会が増えていますが、それだけドローンが世間の耳目を集めているということなのでしょう。

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今回ご紹介するのは、日経コンストラクションの記事です。

2015年7月14日付 不法投棄の監視や災害調査、“官”のドローン活用

 現場の進捗管理などにドローン(小型無人機)を使用する建設会社が増える一方、国や自治体でも業務に活用する事例が増えてきた。茨城県は5月下旬から、産業廃棄物の不法投棄などの監視にドローンを導入。7月6日に、前月の実施結果をまとめた。

 監視したのは6カ所。このうち5カ所が産業廃棄物の過剰保管、1カ所が無許可の残土埋め立てだ。カメラを搭載したドローンで、上空から状況を把握した。調査対象のうち1カ所で、廃棄物を敷地内で移動させ、新たに搬入したことを確認した。茨城県廃棄物対策課不法投棄対策室は、「上空から撮影すると変化がよく分かる。廃棄物の増減を継続調査し、撤去指導などに役立てたい」としている。

 導入したドローンは1機。運用の要領を定めたうえで、訓練を受けた職員が自ら操縦している。撮影の際は2人でチームを組み、1人が操縦に専念し、もう1人が周囲を確認するようにした。県不法投棄対策室は、「2020年の東京五輪に合わせて首都圏で交通インフラなどの整備が加速することから、県内に産業廃棄物などが違法に持ち込まれるケースが増える恐れがある。ドローンの抑止力にも期待している」と説明する。

 愛知県も産業廃棄物の保管状況を確認するためにドローンを導入した。6月30日に調査を実施。結果を踏まえて、今後の活用を検討する方針だ。

上記のような大本営発表を転載しただけの記事ならば、改めてブログで紹介しないつもりでしたが、
「ドローンのより正しい(?)使い方」を考えるための実例や状況が示されているため、
筆者がなるほどと思った部分を引用します。

 神奈川県は6月20日、ドローンに搭載したカメラで箱根山・大涌谷周辺を調査した。温泉造成塔の不具合や凝縮硫黄の付着状況、配管や斜面の変化といった温泉関連設備の状態を調査して、修理や管理に必要な情報を得るのが目的。火山活動を監視するセンサーの設置に向けて、地盤の形状や状態を把握する任務もある。

 最も目立つのが、土砂災害の調査における活用例だ。国土交通省九州地方整備局は7月7日、鹿児島県垂水市の要請に応じて土砂崩落現場の状況をドローンで調査した。

 垂水市内では6月24日以降、大雨の影響で土砂崩れが繰り返し発生。深港川の下流側にある国道220号が全面通行止めとなっていた。九州地整は職員4人を派遣し、保有するドローンを職員自ら操縦して、上流側の崩落箇所を調査した。

このような災害や、人が立ち入ることができない危険な場所の探査には、ドローンはまさにうってつけの道具です。

廃棄物の不適正保管場所とは異なり、災害現場では、現地の状況を素早く、かつ正確に知る必要があるため、今後益々ドローンの活用機会は増えていくことでしょう。

 九州地整では14年3月にドローンを購入。同年の広島土砂災害でも、ドローンによる調査を実施した経験を持つ。運用に当たっては、気象や地形、機体の整備状況などをチェックしたうえで、3人体制でドローンを飛ばす。3人は、操縦、タイムキーパー、双眼鏡による監視をそれぞれ担う。飛行可能な高度は150mまでとし、目視で確認できる範囲でのみ飛行させることなどを定めた要領を整備している。

ドローンの導入及び運用方法については、地方自治体よりも、国土交通省の地方事務所の方が一歩先んじています。

国土交通省の場合は、人家を離れた災害現場での撮影が中心となるため、住民や通行人の安全性とプライバシーに配慮する必要性はほとんど無さそうです。

それでも、ドローン1台に対し3人体制で臨むことを基本ルールとしている点は卓見と言えます。

他の組織においても、このルールを参考として、安全性には十分な配慮をするべきだと思います。

と、ここまでは爽やかな気分で記事を読めたのですが、結論の部分で大きな違和感がありました(苦笑)。

法整備も急ピッチで進む

 監視や災害調査での活用が急速に広がる一方で、4月に発生した首相官邸への落下事件などを受けて、法整備が急ピッチで進んでいる。

 7月9日の衆院本会議では、国内初のドローン規制法案が可決した。国会議事堂や首相官邸、皇居などの重要施設とその周囲300mでの飛行を規制する内容だ。違反者に対しては、1年以下の懲役か50万円以下の罰金を科す。今後、ドローンの飛行ルールをより詳細に定めた航空法改正案も国会に提出される見込みだ。

 安全面だけでなく、プライバシーの観点からもルールを整備する動きがある。総務省は、ドローンで撮影した映像をインターネット上で公開する際の考え方などを整理したガイドライン案を公表。6月30日から7月29日まで、意見を募集している。

 この中で、ドローンで産業廃棄物を不法投棄した車両を追跡し、顔写真やナンバープレートを撮影した際に、撮影自体は公益目的で許されるものの、映像の公開などは肖像権の侵害に当たる可能性がある、といった考え方を紹介している。

 ドローンのメリットを享受するうえで、矢継ぎ早に示される規制の動向に注意を払う必要がある。

色々なリスクを想定して、それへの対処法を考えることはとても重要ですが、
「ドローンで車両を追尾して、運転手の顏やナンバープレートを撮影する」なんて、現在の技術では不可能です。


少なくとも、現在市販されているドローンでは、車両を追尾できるような速度で、なおかつ地上面に近い高度で飛ばし続けるのは、子どもでもわかるくらいに危険です。

そもそも、車両を追尾するためには、追尾対象と同じ速度で動く追跡車両に乗り、そこからドローンを操作する必要があります。

もし、そのような光景を実際に目にすることになれば、誰もが大笑いすることになるでしょう。

「車の中からカメラで撮影すれば終わりなのに、わざわざ危険な方法でラジコンを飛ばしているよ!」と。

「ドローンを使用している際に、撮影現場にたまたまダンプが入ってきて、都合よく(?)廃棄物を現場に置いて行った」という、非常にまれな偶然が起こるかもしれませんので、ドローンで車のナンバープレートや運転手を撮影することが絶対に無いとは言い切れませんが、その場合でも、現場に職員がいる以上、カメラで撮影をした方が手っ取り早いという事実は変わりません。(^_^;)

映画やドラマの世界なら、監視衛星から、運転手の鮮明な顏写真を撮影できるというのがお約束ではありますが・・・

まとめ

問題の存在を認識しているならば、密かに玩具を使って監視をするのではなく、まず行為者を問い詰めるのが先だ!

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