千葉県野田市、ごみ臨検の「分別あらため隊」を結成
昭和48(1973)年生まれの筆者としては、「分別あらため隊」という名称を見ると、「うしろ髪ひかれ隊」や「うしろゆびさされ組」等の80年代女性アイドルグループを真っ先に思い浮かべてしまいました。
https://youtu.be/wD8sT5PJm3k
「『分別あらため隊』とネーミングをした人も筆者と同年代ではないかなあ」と勝手に夢想し、温かい気持ちになりました(笑)。
※注 しかし、筆者は「おニャン子クラブ」関連のファンではありませんでしたので、その方面のコメントには反応できません。あしからずご了承ください(笑)。
さて、ネーミングの是非はさておき、千葉県野田市がやろうとしている取組み自体はかなり硬派な(?)ものになるようです。
2015年7月9日付 産経新聞 野田市、事業系のごみ分別を抜き打ち調査…7割違反
野田市は事業系ごみの減量を目指す方策の一環として、収集対象外ごみの混入を抜き打ちで調べる検査チーム「分別あらため隊」を8月に立ち上げ、悪質な排出者のごみ受け入れを拒否することを決めた。事業系ごみを対象とした市の予備調査では、7割が分別ルールを守っていなかったという。強行姿勢を表明しても有名無実の自治体が多い中、ルールを繰り返し守らない事業者にはきっぱりと「収集お断り」の姿勢を貫く方針だ。
市によると、平成26年度の市民1人当たりの1日ごみ排出量は家庭系ごみ414グラム、事業系ごみ214グラムの計628グラム。家庭系ごみは20年前の818グラムからほぼ半減したが、事業系ごみは214グラムで変化がない。このままでは33年度目標の計447グラムを達成できないとして対応を見直すことにした。
分別が進んだ家庭系ごみに比べ、事業系ごみは収集対象外の資源化可能な缶や紙類、産業廃棄物のプラスチック類が混入しているのが現状で、減量が進まない原因にもなっている。
現在、市は約1100事業者から収集許可事業者経由で出された事業系ごみを処理している。「分別あらため隊」は清掃1課職員1人と臨時職員3人で構成し、週3回程度出動。市内に22台ある事業系ごみ収集許可車両が清掃工場に来るのを待ち、このうち2台の積載物を抜き出してチェックする。
ルール無視が分かった場合は改善指導を行い、応じない排出・収集事業者には受け入れ拒否の厳しい態度で臨み、事業者名を公表する。ごみの分別、減量が進めば、行政コストの削減などにつながると期待される。
県によると、事業系ごみに対する同様の検査は、26年度までの8年間に、年間ベースで4分の1に近い8万トン余りのごみを減らした千葉市でも行われている。県循環型社会推進課の担当者は「今後、県内でも同様の取り組みを取り入れる市町村が増えることが予想される。ごみの減量に向け、それぞれの市町村が取り組むことは望ましい」としている。
事業系ごみの減量推進のため、産業廃棄物や古紙などの混入を禁止する自治体はよくあります。
そして、事業系ごみを搬入する収集運搬業者に対し、異物の混入禁止を厳しく指導する自治体が、それと同じ数だけあります。
産業廃棄物処理費を低減させるために、意図的に産業廃棄物を事業系一般廃棄物に混入させるような収集運搬業者は論外ですが、
大部分の事業系一般廃棄物許可業者は、顧客である排出事業者が出したゴミをそのまま市町村の清掃工場に運んでいるだけです。
収集運搬業者がゴミ袋を回収する度に中身を開封し、異物混入の有無をチェックするのは事実上不可能なのですが、多くの自治体は、「収集運搬業者が運んできたゴミ袋の中身に関しては、収集運搬業者に責任がある」という信仰をお持ちのようで、収集運搬業者には非常に厳しい姿勢で臨むことがほとんどです。
中には、異物の混入が一定期間内に頻発すると、その収集運搬業者の許可を取消すという、かなり厳格な姿勢で業者指導に臨んでいる自治体もあります。
しかしながら、ゴミに異物を混入させたのは、収集運搬業者ではなく、そのゴミの排出事業者です。
本当に事業系ゴミを減らしたいのであれば、収集運搬業者ではなく、排出事業者に対し直接ペナルティを与えない限り、排出事業者がゴミを減らそうと反省することは無さそうです。
自治体にしてみると、「いや、排出事業者にも立入検査等を行い、ゴミ減量の周知徹底を図っているのだ」と言いたいところかもしれませんが
痛みを伴わないただの訪問検査で、排出事業者のゴミ排出方針が変わるとは思えません。
それでは、排出事業者に対しどんな痛みを与えるべきかについてですが、
排出事業者は許可業者ではありませんので、大部分の行政処分の対象にはなりません。
そのため、実質的な意味でのペナルティとしては、野田市が表明している「収集お断り」が一番効果的なものだろうと思います。
野田市が言うところの「事業者」が、言葉のとおりに、「ゴミの排出事業者」を指すものであることを期待しております。
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2015年7月13日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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