言うだけなら無料
単なる指針ですので、具体的に取引内容が規制されるわけではありませんが、かねてから環境省が表明していたとおり、「食品廃棄物の処分委託をする際には、排出事業者側で一手間加えてから依頼をするのが望ましい」という指針案がまとまったようです。
2016年7月6日付 時事通信 「食品廃棄物、破砕後に引き渡し=不正転売防止で指針案-環境・農水両省」
環境、農林水産両省は6日、廃棄した冷凍カツが食用に横流しされた事件を受け、食品廃棄物の不正転売を防ぐ事業者向けの指針案をまとめた。食品事業者は、廃棄する食品を転売できないよう破砕や刻印などの対策を取ってから産廃処理業者に引き渡す必要があると明記。意見公募などを経て年内に正式決定する。
指針案は、食品廃棄物の転売防止と飼料などへの再利用促進の両立を目指している。食品廃棄物の排出事業者には他に、委託時に産廃処理業者の収集・運搬能力の確認や、適正な料金での契約などを要請。処理終了後に食品廃棄物が再生利用されているか飼料業者に確かめることも求めた。
「食料・農業・農村政策審議会食料産業部会第16回食品リサイクル小委員会 中央環境審議会循環型社会部会第14回食品リサイクル専門委員会 第14回合同会合」という恐ろしく長いタイトルの部会が2016年7月6日に開催されましたが、そこで議題として指針案が検討されていたようです。
2016年7月7日10時の時点では、環境省及び農林水産省のHPにその案が掲載されていないため、内容の詳細を検討することはできませんが、時事通信の報道から判断すると、2016年3月14日付で環境省が公表した再発防止策よりも踏み込んだ表現をしています。
上の画像に引き続き、同防止策では、
「食品廃棄物の廃棄に係るガイドライン(仮称)をできるだけ速やかに取りまとめ」とあるので、「環境省単独の意見ではなく、農林水産省と連名なのでより強く意見を言った」というところでしょうか?
「中小企業等、事業の規模に応じて活用できるよう、内容を検討」と書かれていますが、中小企業ならずとも、大企業でも活用できなさそうな提案に見えますが、一体、どのような「意識高い系」企業にインタビューされたのでしょうか??
“無償の善意”にどこまで期待するのか
ガイドラインの目的は、「食品廃棄物の転売防止」であることは誰の目にも明らかですが、目的達成のための手段が、「羹に懲りてなますを吹く」を地で行く、無意味に厳格な物にしか見えません。
日常的に廃棄処分する物に対して、誰が喜んでさらなる手間とコストをかけるのでしょうか?
食品廃棄物自体は、危険性や有害性があるものではないため、ここまでの対策をやる意味は本来ありません。
排出事業者に必要なことは、委託先処理業者が転売という良からぬ行為を起こしかねない経営状況か否かを見極めることです。
廃棄する物にわざわざ刻印する様子を想像すると、非常にシニカルな光景が目に浮かびます。
※ただし、換価価値が高い商品や製品を廃棄する場合なら、排出事業者の自ら破砕や刻印等にも一定の合理性があります。
排出事業者の“無償の善意”に期待をするよりは、食品衛生法を改正し、廃棄品を転売することを禁止する方がよほど効率的かと思います。
タイトルに書いたとおり、「言うだけなら無料」ですので、国としては「これで仕事が終わったぁ~」という自己満足を得られたものと思われます。
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2016年7月7日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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