社長が「腐ったミカン」ではどうしようもない

リサイクルやコンプライアンスといった理念を語るのは簡単ですが、社長自身が違法行為に手を染めると、どんなリスク対策も役に立たなくなります。

2016年7月17日付 岐阜新聞 「従業員は手伝わせず 廃棄カツ事件

 岡田容疑者らは部外者に知られないよう、偽装工作を図ったとみられる。岐阜、愛知両県警の捜査本部は転売にいたる経緯の解明を急いでいる。

 関係者によると、みのりの元従業員は「倉庫で壱番屋の箱は見たことがある」と話すが、それ以上は知らなかったとみられる。岡田、木村の両容疑者は、みのりの倉庫で岡田容疑者のイニシャルを使った「OM」というシールを白い段ボール箱に貼り、製造元を偽装したという。

「Okada Masao」で「OM」という中学生レベルの創作センスが涙を誘います。

しかしながら、その貧弱な創作センスでも、「排出事業者責任に無関心な排出事業者」や「○×の採点をすることのみにご執心の行政担当者」を長年だまし続けることに成功しました。

初歩的ながらも効果的だった転売偽装を最初に見抜いた、壱番屋のパート従業員の方の冷静さは大いに称賛すべきと思います。

その方の発見で、壱番屋は自主公表に踏み切った結果、数々の重篤な廃棄物処理法違反にもかかわらず、最高益という果報まで享受できたのも事実です。

処理状況確認の際に、ダイコーのような企業の危険性を見抜くためには、「○×の採点」だけでは不可能と思います。

○か×を付けるということは、その質問の前提条件を二者択一しかない状態に設定することになるからです。

多くの場合、このようなチェックシートでは、○と評価するしかないような設問になりがちです。

現実世界は二者択一の単純な構造ではなく、様々な二者択一問題が複雑に絡み合う構造ですので、不正を見抜いた壱番屋従業員の方のように、目の前の○×のみならず、自分の感じた違和感を立体的に検証評価する姿勢が不可欠なのは間違いありません。

さて、先週木曜日に、食品衛生法担当の行政官の講演を聞く機会がありましたが、「食品表示が無い食品を販売すること自体が有り得ない」とのことでした。

そうなると、今回逮捕された関係者のみならず、スーパーの仕入れ担当や陳列担当にも、廃棄品を食品として流通させた責任の一端があることになります。

それらの人達に法律上の刑罰がかかることはなさそうですが、食品販売事業者として当然の注意義務を怠っていた点においては、重大な職務怠慢があったと言えます。

また、自分の身を自分で守るという観点からは、消費者としても食品表示に関する知識は国民全員が知っておく必要がありますね。

しかしながら、肝心の消費者庁のHPは非常に難解です。これを丹念に読み込む努力を続けられる人はほとんど無さそうです。

food

この構成を見ると、果たして本当に国民に閲覧をしてほしいと思っているのか疑問に思います。

リンク先を開かないと一切の情報を入手できないというのは、HP制作者としては怠慢と言えます(苦笑)。

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