自浄作用

金曜日に公表された事業停止処分によって、翌週の月曜日には、東証二部に上場しているフジコーの株価がストップ安になりました。

ダイコー事件の当事者であるにもかかわらず、決算で過去最高益を叩きだした壱番屋は異例中の異例で、こうした市場の反応こそが、自浄作用と言うべきものなのでしょう。

2017年2月3日付 千葉県発表 「産業廃棄物処理業者に対する行政処分について(平成29年2月3日)

県は、産業廃棄物処理業者に対して、廃棄物処理法(以下「法」という。)第14条の3及び法第15条の2の7の規定により事業停止及び施設使用停止処分を行いましたのでお知らせします。

処分理由は、産業廃棄物処理施設の使用に当たって法に規定する維持管理の基準に違反したこと及び無許可の産業廃棄物処理施設の設置(入替え)を行ったことによるものです。

千葉県はさらに「処分理由」を下記のように記しています。

株式会社フジコーは、産業廃棄物処理施設(焼却施設:3施設)の使用に当たり、法施行規則第12条の6第2号の規定に違反したため、産業廃棄物処理施設の維持管理について定めた法第15条の2の3第1項の規定に違反した。

また、同社は、産業廃棄物処理施設(破砕施設:1施設)を無許可で設置(入替え)したため、無許可の産業廃棄物処理施設の設置を禁止した法第15条第1項の規定に違反した。

この事実により、法第14条の3第1号(事業の停止)及び法第15条の2の7第3号(施設の使用停止)に該当した。

法令の条文番号を書いているだけなので、具体的な違反事実がよくわかりません。

当事者であるフジコーは、自社HPでわかりやすく説明責任を果たしています。

同日付 フジコー発表 産業廃棄物の収集運搬業及び処分業の事業停止処分に関するお知らせ

(3) 処分の原因となる事実
1.許可を受けたとみなされる破砕機を無許可で入れ替え、産業廃棄物の処理を行った。
2.焼却施設において、恒常的に許可処理能力を超過し産業廃棄物の処理を行った。

いずれも素直に謝罪するしかない初歩的な違反ですが、どこぞの環境産業拠点での不法投棄事件とは異なり、悪意は感じられません。

「内部統制が全然なっていなかったね」という印象でしかありません。

もちろん、上場企業だからこそ、社内統制をしっかりと行い、このような初歩的な違反で事業停止処分の対象にならないようにするのが当然なのですが、最近は「嘘に嘘を重ねる」ような言い訳ばかりを目にし続けておりましたので、フジコーの真摯な発表内容に清々しさを覚えてしまいました(笑)。

15条施設の場合、それを設置する前に設置許可を受けなければなりませんので、設置後に施設を勝手に入れ替えてしまうと、直罰の対象になることもあります。

問答無用で杓子定規な運用をする自治体であれば、この1点だけで、許可取消をされてもおかしくありませんでした。

そうなると、他の自治体におけるすべての産業廃棄物処理業許可も取消されてしまいますので、同社の事業は存続不可能になった可能性もあります。

しかしながら、あくまでもそれは可能性の話であって、実際には施設の無許可変更で刑事処分を受けたわけではありませんので、許可取消ではなく、事業の全部停止処分を自治体が選択することはもちろん合法です。

この点を強調しておかないと、また新聞が大騒ぎしてもいけませんので、念のために補足しておきました(笑)。

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