成果物はどうなった?

廃棄物処理制度委員会報告書で、「廃棄物処理における有害物質管理の在り方」が提示されています。

個人的には、WDSの重要性が再認識される非常に良いきっかけになることを期待しておりましたが、報告書上では、具体的な「有害物質管理の在り方」については一切言及されていません。

このテーマについては、当ブログ 2016年5月16日付記事 「環境省、委託基準の検討業務を外注予定」でご紹介したように、環境省は、既に具体的な有害物質の種類の検討に入っていたところですが、また来年度も同じテーマに見える検討業務を外注するそうです。

2017年2月7日付 環境省発表 「平成29年度特別管理廃棄物制度及び情報伝達方策調査業務 [総合評価落札方式]

仕様書の「業務の目的」は次のように書かれています。

1.業務の目的
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45 年12 月25 日法律第137 号。以下「廃棄物処理法」という。)における委託基準では、委託者が有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な事項に関する情報を委託契約の中で処理業者に提供することとされており、環境省では、必要な廃棄物情報に関して具体化した項目を例示したWDS(廃棄物情報データシート)を定め、ガイドラインの発出等によりWDS の普及を図っている。近年、利根川水系の浄水場においてホルムアルデヒドによる取水障害が発生した事案等、排出事業者から処理業者への情報伝達が十分でなく、適正な処理が行われなかったことが原因と強く推定される事案が発生しており、当該情報伝達の重要性が改めて明らかになった。
 また、特別管理廃棄物の指定対象については、制度が導入されてから20 年以上経過しているが、ダイオキシン類や1.4-ジオキサン等の新規物質の追加等はされているが、水質汚濁防止法を除く危険・有害物に関する国内法令の規制対象物の大部分は、現在でも指定されていない。同様に、特別管理廃棄物に係る規制についても、特別管理産業廃棄物管理責任者の責務が明確にされていない等、十分に見直しが行われていないと考えられる。
 そこで、本業務では、廃棄物処理法の総合的見直しを議論している中央環境審議会の下の廃棄物処理制度専門委員会で示された報告書(案)において、「廃棄物処理制度における有害物質管理のあり方についても、特別管理廃棄物制度や情報伝達のあり方を含め、今後、専門的な検討を進めていくべきである。」等とされていることを踏まえ、具体的な検討を進めるために必要な調査や情報収集を行い、議論に必要な資料を作成するとともに、有識者等を集めた場で検討を行うに当たって必要な支援を行うことを目的とする。

仕様書では、「専門委員会で指摘されたから、有害物質管理の在り方の検討を進めていく」となっていますが、
「平成28年度産業廃棄物処理委託基準の検討業務」の仕様書では、

(3)廃棄物処理制度専門委員会の資料案の作成
 上記委託基準化に向けて、中央環境審議会の下に設置される廃棄物処理制度専門委員会に提出する資料案(主に上記の業務成果をまとめたもの)を作成する。

と書かれてありました。

全8回の専門委員会において、そのような具体的な有害物質に関する資料は提出されなかったと記憶していますが、上記の報告書の記述そのものが検討業務の成果物なのでしょうか?

今回の入札では、「平成28年度産業廃棄物処理委託基準の検討業務」の内容を踏まえ、情報提供項目の詳細等さらに具体的な検討に入るようです。

2.業務の内容
(1)適正な処理のための情報伝達事項の検討
ア 危険・有害物の規制等の整理
次の法令で規制対象とされている危険・有害物について、「平成28 年度産業廃棄物処理委託基準の検討業務」での検討事項を踏まえ、さらに必要な各法令における規定や取扱い等を詳細に整理すること。
① 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11 年法律第86 号)に規定する第一種指定化学物質等
② 毒物及び劇物取締法(昭和25 年法律第303 号)に規定する毒物若しくは劇物又は同法第11 条第2項に規定する政令で定める物
③ 特定化学物質障害予防規則(昭和47 年労働省令第39 号)に規定する特定化学物質
④ 有機溶剤中毒予防規則(昭和47 年労働省令第36 号)に規定する有機溶剤等
⑤ 鉛中毒予防規則(昭和47 年労働省令第37 号)に規定する鉛等及び焼結鉱等
⑥ 四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47 年労働省令第38 号)に規定する四アルキル鉛等
⑦ 消防法(昭和23 年法律第186 号)に規定する危険物
⑧ 高圧ガス保安法(昭和26 年法律第204 号)に規定する高圧ガスが充填された容器
イ 情報伝達事項の検討
上記危険・有害物を廃棄物として処理委託する場合、適正な処理のために必要な情報伝達事項として、当該物を規制する法令名、物質名、物質の含有有無等が想定されるが、産業廃棄物処理業者が適正処理のために情報提供を受けたい事項、排出事業者が情報提供する際に過度の負担とならない事項等を調査し、適正な処理のために必要な情報伝達事項を検討すること。
なお、検討に当たっては、上記(1)ア)①から⑧の危険・有害物を廃棄物として処理している実績がある産業廃棄物処理業者(3社を想定)及び排出している排出事業者(3社を想定)からヒアリングを実施し、廃棄物の処理実態に即した調査を行った上で検討すること。

(2)危険・有害物に関する廃棄物処理における留意事項の検討
ア GHS 分類毎の留意事項の検討
危険・有害物を廃棄物として処理委託する場合のGHS 分類毎の廃棄物処理における留意事項について、調査し、検討すること。
イ 特に注意を要する物質等の留意事項の検討
上記(1)ア)①から⑧の危険・有害物のうち、廃棄物として処理する場合に、特に注意を要する必要がある物等について調査し、廃棄物処理における留意事項を検討すること。
なお、上記ア)及びイ)の検討に当たっては、「平成28 年度産業廃棄物処理委託基準の検討業務」での検討事項を踏まえ、さらに産業廃棄物処理業者(2社を想定)や有識者(2名を想定)からヒアリングを実施した上で検討すること。

(3)廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)の改訂案の作成
(1)並びに(2)の業務及び(5)の検討会の内容を踏まえ、平成25 年6月に環境省が作成した廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)の改訂案を作成すること。

(4)特別管理廃棄物制度の実態調査
特別管理廃棄物制度の点検を行うに当たり、現行制度の問題点を抽出できるよう、当該制度の運用を把握している都道府県等(5自治体を想定)や特別管理産業廃棄
物を排出する排出事業者(3社を想定)等にヒアリング等を実施し、実態について調査すること。
 なお、調査事項として、特別管理産業廃棄物管理責任者については必須とすること。

(5)検討会の開催
 特別管理廃棄物制度及び情報伝達方策について議論することを目的に、有識者6名程度を委員として「平成29 年度特別管理廃棄物制度・情報伝達方策点検検討会(仮
称)」を設置し、年5回程度、東京都内において非公開にて開催する。検討会の実施に係る以下の支援業務を行うこと。
ア 検討会資料の作成等
検討会資料の作成及び印刷(1回につきA4 サイズ50 頁程度、30 部程度)を行う。必要に応じ、当該作業の内容について環境省担当官と協議すること。
イ 委員等への連絡・日程調査等
検討会委員及び関係機関への連絡・日程調査等の必要な手続きを行う。委員の委嘱等手続、謝金・旅費についても本業務の範囲内とする。旅費は「国家公務員等の旅費に関する法律」に従って委員に支給するとともに、謝金は委員1人に対して1回当たり17,700 円を支給するものとする。
なお、委員は6名程度、オブザーバーは10 名程度を予定しており、人選に当たっては、環境省担当官と協議の上選定すること。
ウ 会場の確保及び設営
検討会の開催日が決まり次第、必要に応じ、東京都内の会場(収容人数30 人程度、半日。環境省担当官と協議の上省内会議室の利用も可)を確保(備品の借り上げも含む。)し、環境省担当官の指示の下、設営を行う。
会議当日の対応として、席上への資料・ネームプレートの配布、筆記用具、お茶の準備、会議終了後の片付け等を行う。会場の設営等に係る諸経費の支出についても本業務の範囲内とする。
エ 議事録の作成
検討会において議事の記録を行い、検討会終了後1週間以内を目途に議事録案を作成し、環境省担当官に送付する。

(6)報告書の作成
上記(1)~(5)の結果を取りまとめ、報告書を作成する。

3.業務履行期限
平成30 年3月30 日まで。
なお、2(1)~(2)の業務については、第3回検討会(9月下旬頃を予定)の2週間前に完了させること。

残念がら、検討会は「非公開」とのことです。

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