火災後の模範的事後措置

火災を起こさないようにすべての事業者は考えて操業をしていますが、火災は一度起きると被害が甚大になり、物や書類が一気に焼失してしまうという怖さがあります。

今回ご紹介する沖縄県の発表内容は、産業廃棄物処理業者において火災が起こった際に、排出事業者が取る必要のある措置を簡潔、かつ明瞭に説明したものとなっています。

通常、一処理業者の火災事故に関し、行政が排出事業者向けの手続きを広報することは非常に稀ですが、法律の条文を読んでも把握しがたい実務手続きですので、大変意義のある広報と高く評価いたします。
( ^ω^)b グッジョブ!!

2018年3月1日付 沖縄県発表 「富士盛産業に産業廃棄物を処理委託した排出事業者の皆さまへ

富士盛産業に産業廃棄物を処理委託した排出事業者の皆さまへ

 平成30年1月2日に発生した有限会社富士盛産業の火災事故により、事業場内に保管されていた未処理の産業廃棄物や事務所が焼失し、併せてマニフェストや帳簿等の関係書類も焼失しました。
 本来であれば、排出事業者は自らが委託した廃棄物の処理完了を確認するため、マニフェストの送付を受ける必要がありますが、それが困難になりましたので、以下のとおり有限会社富士盛産業と連絡を取り合い、対応を図るようよろしくお願いします。

措置内容等報告書の提出について

 排出事業者は、マニフェストの写しの送付を受けないとき等は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条の29の規定に基づき、「措置内容等報告書」を都道府県知事に提出する必要があります。
 ついては、有限会社富士盛産業に連絡を取り、以下の事項を実施し、その旨を報告書の「把握した運搬又は処分の状況及びその把握の方法」及び「生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために講じた措置の内容」に記載し、1部を管轄の保健所に提出してください。

有限会社富士盛産業の事業場の実地確認を行い、廃棄物の状況を確認すること
手元にあるマニフェスト及び委託契約書の写しを有限会社富士盛産業に手渡すこと

<記載例>
 「把握した運搬又は処分の状況及びその把握の方法」
平成30年〇月〇日に有限会社富士盛産業の事業場の実地確認を行った。処理委託した廃棄物は焼失し、判別できる状況ではなかった。

 「生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために講じた措置の内容」
処理委託した際のマニフェスト控えの写しを有限会社富士盛産業に提供した。

措置内容等報告書の記載例まで挙げている点も高評価です。

さて、肝心の措置内容等報告書についてですが、
産業廃棄物管理票交付後90日を経過しても、収集運搬や中間処理の終了報告が返ってこない場合に、排出事業者として産業廃棄物処理状況を確認し、その内容を都道府県知事に報告するというものです。
※最終処分終了報告については、産業廃棄物管理票交付後180日以内

また、火災を起こした産業廃棄物処理業者側でも、火災の結果、産業廃棄物の処理ができなくなり、産業廃棄物保管量が上限に達したような場合は、委託者に処理困難通知を出す義務がありますが、
火災で産業廃棄物が焼失しただけで、保管量が超過状態になっていない場合は、処理困難通知を出す義務はかかってきません。

このように、火災で契約書や顧客情報をなくした処理業者には、委託者にその事実を告げる義務や余裕がないことが多いため、委託者側は、「返ってこないマニフェストがある」ことに気付けるかどうかが、唯一の危険予知ポイントとなります。

措置内容等報告書の提出は排出事業者固有の義務ですが、先の90日や180日経過してから30日以内に提出しなければなりません。

したがって、「マニフェストが返ってきていない」と気付いた段階で、すぐに行動しなければ提出期限に間に合わないおそれがありますので、平常時からマニフェスト返送日の確認をすることが非常に重要です。

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