「違法で儲からない」が正しい
2019年1月27日付 読売新聞 「「違法だけど…カネもうかる」10トン不法投棄」
建物を解体した際に出る産業廃棄物を不法に捨てていたとして奈良県警奈良署などは26日、奈良市藺生町の建設作業員の男(60)ら4人を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕したと発表した。全員が容疑を認め、男は「違法と分かっていたがお金がもうかるから」と話しているという。
発表では、4人は共謀し、25日午前7時50分頃、男が借りている天理市福住町の空き地に、コンクリート片や木くずなどの混合廃棄物約10トンを捨てた疑い。
空き地は約1000平方メートル。建設作業員の男は有料でごみを引き受けていたといい、現場にはごみ約2000立方メートルが堆積していた。男は「約2年前から受け入れていた」と供述しているという。
「もうかるから」に反応し、副業として不法投棄を企図する人が出たらいけませんので、念のため注釈しておきます。
一般的には、不法投棄は儲かりません!
その理由は、15年前とは異なり、アウトローと許可業者の価格がそれほど大きくなくなったため、無許可業者にわざわざ不法投棄を依頼する必要が無くなったためです。
下手をすると、モグリ業者の方が正規業者よりも暴利を貪っている事例も無くはありませんが、よほどお人好し、かつ無知な排出事業者でもない限り、好んで無許可業者に高値で依頼する人はいません。
正規とモグリの価格差が縮減した背景としては、産業廃棄物処理業者数の増加があります。
特に建設廃棄物においては、処理設備が新品と中古を含めて広く普及しているため、他の産業廃棄物と比較すると、安い投資で参入できるという状況があります。
さて、「一般的には」という注釈を先ほどは付けましたが、
儲けの指標となる欲しいお金の金額には個人差がありますので、
不法投棄で得た5万円でも大金に思える人ならば、「儲かった」と一時的に実感する可能性はあります。
ただし、業として(?)、すなわち反復継続して不法投棄を請負うようになると、いずれは警察に露見することになり、ほぼ逮捕されることになります。
そうなると、弁護士さんのアドバイスにより、少しでも反省していると認めてもらうために、不法投棄物の自主撤去をできる範囲で行うことになり、違法に得た収益のほとんどを結局失うことになります。
しかしながら、不法投棄が儲からないというのは、正規業者との価格差が少ない状況下の話です。
モグリと正規業者との価格差が大きくなった場合は、モグリ業者が暗躍する余地が大きくなります。
現在、中国その他の廃プラスチックの輸入停止措置に伴い、廃プラスチックが日本国内に滞留しています。
今後は消費税増税のタイミングもあり、産業廃棄物処理費が上昇傾向に入ると思われますので、アウトローが昔のように跳梁跋扈する可能性も十分あります。
あるいは、大変残念なことですが、最終処分費を捻出できなくなった中間処理業者が、不適正処理に手を染める可能性もありそうです。
« 横流しの次は垂れ流し 積卸し(平成5年3月31日付衛産36号より抜粋) »
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2019年1月29日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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