ポイント経済はリサイクルの救世主となるか?

資源リサイクルを進める際に支障となっているものの一つが、「不用物の買取りが可能かどうか」です。

買取りが可能な場合は、一般的な商取引である「資源の買い付け」と同視できますので、何の問題もありません。
※もちろん、「買取り」と称しながら、買取費用の何倍もの「リサイクル料金」や「回収費用」を請求している場合は、「廃棄物の回収」をしているのと同様ですので、廃棄物処理業の許可が必要となります。

では、「買取りはできないが、無償で引取りはできる」という場合はどうでしょうか?

この場合、買取費用が発生しませんので、「買い付け」と同視することは困難です。

そのため、「有償で買取りができない=廃棄物の引受けに該当する」として、廃棄物処理業の許可取得が必要と判断されるケースが多々あります。
※注
「『無償での引取り』はすべて廃棄物処理業の許可が必要」と言っているわけではありません。「現実には行政によってそう判断されるケースが多い」という趣旨です。

この「無償引取り」に伴う廃棄物処理業許可の要否の解決策となり得る取組みを一つご紹介します。

2020年10月14日付 国際商業ONLINE 「ライオン、1年間で約17万本のハブラシを回収しリサイクルを実施

参加希望者が個人・学校・団体などの単位で事前に同プログラムホームページ(https://www.terracycle.com/ja-JP/brigades/habrush)から参加登録し、回収ボックスなどを設置してハブラシを集める。使用済みハブラシが200 本(約2キログラム)以上集まったところで回収、回収量に応じてテラサイクルポイントが付与され、植木鉢等のリサイクル製品への交換や任意のNPO団体・教育機関への寄付に使用することができる。20 年9 月末時点の登録参加者は、学校や医療機関など715 団体で、15 年の開始から累計で73万387 本を回収した。

まず、打ち上げ花火のような一過性のイベントではなく、地道に73万本もの歯ブラシを回収し続けていることが素晴らしいです。

この取組み、回収箱を設置し、そこで回収をするだけであれば、最終的には歯ブラシがリサイクルに回るとしても、「不用品を回収しているだけではないか」という批判が成り立ちます。

しかし、「対価」として、何らかのポイントを付与する場合は、
現実的な金銭での買取りはしていませんが、「無償引取り」でもありません。

そして、単なる数字としてのポイント付与ではなく、「リサイクル製品との交換」や「金銭の寄付」を選択できるため、回収プログラムの参加者は、物理的なメリットを享受することが可能となっています。

厳密には、歯ブラシを回収ボックスに入れた人自身が物理的メリットを受けるわけではありませんが、「回収ボックス設置者の利益のために、使用済み歯ブラシを寄付している」と位置付けることも可能です。

「ポイント付与」と「寄付」を組み合わせれば、これまでは実施困難だった啓発的なリサイクル事業を、より簡単に実現できるようになりそうです。

最後に、言わずもがなではありますが、
「ポイント付与と寄付を形式的に装えば良い」というのは大間違いで、脱法行為になる可能性大です。

啓発的なリサイクル事業を企画する場合は、「参加者への対価」や「コスト計算」等を慎重に検討し、ライオン社とテラリサイクルジャパン社の取組みのように、正々堂々と事業を進めていただくことをお薦めします。

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