布団回収サービスは既にカオスだった

先日、「布団の回収サービス・・・」という記事を上げましたが、当ブログ内ではなかなかの人気記事となり、週間閲覧ランキング2位をキープしています。

どういうきっかけで当ブログにたどり着いたのかはわかりませんが、世の中には「金を払ってでも、今すぐ布団を処分したい!」と考えている人が多いようです。

記事を書いたきっかけは、とある企業のプレスリリースをたまたま閲覧し、そのリリース内容にツッコミを入れただけですので、世間の関心やニーズについては、正直なところ過小評価していました。

そこで、「布団回収サービス」というキーワードをGoogleで検索してみると、見出しだけで違法とわかるサイトのオンパレードでした。

その中には、「産業廃棄物収集運搬業」の許可業者のサイトまでありましたので、その業者に許可を出した自治体は違法行為の事実を知らないのか疑問に思いました。

「布団回収」で当サイトにたどり着いた方の中には、廃棄物処理法の知識が乏しい人が多いと思いますので、念のために、なぜ違法なのかを簡単に書いておきます。

個人が廃棄する布団は、「一般廃棄物」と法的に位置づけられますので、最寄りの市区町村にゴミ処理をしてもらう必要があります。

市区町村によっては、その自治体内に存在する会社に、「一般廃棄物処理業」の許可を出し、自治体の所管地域から発生した一般廃棄物の処理を認めているケースがあります。

ゆえに、大別すると、布団の回収は、
・最寄りの市区町村
・最寄りの市区町村から布団の処理が認められた「一般廃棄物処理業者」
のいずれかに頼むことになります。

ここで、「布団も処理できる」と自称する「産業廃棄物処理業者」に布団の処理を頼むと、
「産業廃棄物」の処理しか認められていない「産業廃棄物処理業者」は、
最寄りの市区町村から許可を受けずに、「一般廃棄物」を処理することとなり、
廃棄物処理法第25条の罰則(5年以下の懲役、もしくは1千万円以下の罰金、または併科)の対象となります。

また、「不用品回収業者」なる「無許可業者」が「一般廃棄物」である布団を回収した場合も、
産業廃棄物処理業者と同様に、「無許可営業」で廃棄物処理法第25条の罰則の対象となります。

と、「簡単に」と言いながら、かなり説明が長くなってしまいました。

上場企業までもが「布団の有料回収やってます」と違法行為を喧伝している様子を見ると、「ESG投資なんて上っ面だよね~」とシニカルに考えることしかできなくなりました。

「気持ち良くなるお薬を廉価で分けてあげます(※中毒性があるので、ご使用は自己責任で)」とか
「ご指定の人間を100万円で3日以内に消してあげます」などと、サイトで少しでも喧伝すれば、すぐに警察から逮捕されること間違いありませんが、

こと布団回収に関しては、違法であるにもかかわらず、行政や警察の当局が取り締まりをしている形跡はまったく見受けられません。

「あの会社もやっている」「この会社もやっている」「だから我が社もやってしまおう」という、便乗的な動機なのか、
「布団の処理でみんなが困っているので、うちが解決しちゃうぞ!」という、社会問題の解決に情熱を傾けているのか、
「違法なことは知っているが、みんなで渡れば怖くない」という、間違った同調性を発揮しているのか、
はわかりませんが、このまま当局の放置が続くと、無許可業者が様々な分野で勝手に廃棄物回収を始めてしまいそうです。

こうなると、世紀末ヒャッハー!か修羅の国かという、「やったもん勝ち」な無秩序社会の様相を呈しますが、現実は既にそうなっていると考えるべきなのかもしれません。

もうこうなると、色々な違法行為の説明手口をそれと知りつつ面白がることが一つの嗜みなのかもしれないので、今回は嗜みの練習をしてみます。

世紀末ヒャッハーなGoogleで2番目に見たサイトで、「布団を可燃ごみと一緒に出す裏ワザ」を紹介していました。

インターネットに掲載した瞬間に「裏ワザ」ではなくなるように思いますが、こういうワザだそうです。

布団を細かくはさみなどで切ってゴミ箱に入れ、他の可燃ごみと一緒に出す

物理的にはそのような処分方法の可能性も無くは無いですが、常識的なルールを逸脱する手法を、さも合法的な手段であるかのように喧伝することはいかがなものかと思います。

できるかどうかではなく、「絶対に布団を消滅させるのだ」という「布団絶滅主義」とも言うべき熱情が感じられます。

実際に実行した経験はありませんが、「布団を細かく切る」と、「布団の中身のフワフワがそこら中に散乱する」ことは間違いなさそうです。

その結果、布団としてまとまっていた状態よりも、部屋が余計に散らかることとなり、問題をさらに悪化させる未来しか見えません。

いやあ カオスな日本って 本当に面白いですね。それでは また。

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