ジクロロメタン含有溶剤の不法投棄

事件自体は昨年の2021年末に起きていましたが、その後の調査及び捜査により、ようやく行為者が逮捕されました。

2022年8月31日付 NHK 「荒川支流の有害物質は廃油 金属加工会社の当時の社長逮捕

※被疑者の氏名その他はイニシャル表記にしました。

去年、埼玉県川越市の荒川の支流で国の環境基準を超える有害物質が検出され、警察は市内の金属加工会社から流れ出た廃油が原因だったとして当時の社長を廃棄物処理法違反の疑いで逮捕しました。

去年12月、川越市を流れる荒川の支流の麦生川や八幡川でそれぞれ国の環境基準を上回る有害物質の「ジクロロメタン」が検出されました。

警察は、この有害物質が川に流出した原因などを捜査していましたが、31日、川越市内にある金属加工会社Kの当時の社長、K容疑者(62)を逮捕しました。

警察によりますと、去年11月下旬、金属製品を洗浄したときに出た廃油あわせておよそ660リットルを2回にわたって会社の排水口に捨てたとして、廃棄物処理法違反の疑いが持たれています。

「ジクロロメタン」はこの廃油に含まれ、体に取り込まれると中枢神経への麻酔作用や肝機能障害を引き起こすとされるほか、発がん性も指摘されていますが、健康被害は確認されていないということです。

廃油660リットルということは、ドラム缶約3本分になります。

それを一挙に捨てたためか、下流の農業集落排水処理施設でジクロロメタンが検出され、悪事が発覚する次第となりました。

金属加工設備を溶剤で洗浄することは不可欠の工程となりますが、ジクロロメタン含有の溶剤は特有の甘い匂いがするとのことですので、そのまま放置し続けるわけにもいかず、下水へ不法投棄をしたということのようです。

当時、会社は清算中で、調べに対して容疑者は「早く工場を売却したかったので廃油を流してしまった」と容疑を認めているということで、警察は詳しい状況を調べています。
有害物質の流出をめぐっては、市が容疑者と会社に汚染の除去などにかかった費用4000万円あまりの賠償を求める裁判を起こしています。

「清算中の会社(というよりは経営者)が、コスト削減のために他人に見えないところで不法投棄をした」という点が、実は根深い問題でもあります。

コロナ不況かと思いきや、2021年の企業倒産件数は歴史的にも非常に低い水準でした。

理由は潤沢な給付金や補助金等の他、様々な理由が考えられますが、間違いなく断言できることは、
「『後継者不在』により倒産する企業数は今後減ることは有り得ない」
ということです。

もちろん、清算する企業の経営者の大部分は、後始末をキッチリとしたうえで自分が育てた企業に幕を下ろすことと思いますが、ごく少数とは言え、このような杜撰、かつ人目につかない大胆な方法で不法投棄を企図する輩が必ず現れますので、これまで以上に深刻な害を及ぼす不法投棄が増えそうです。

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