蛍光灯が2027年末で製造禁止に

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2023年11月4日付 日刊スポーツ 「蛍光灯、27年末で製造禁止 水銀に関する水俣条約で合意 ボタン電池などは25年末

水俣病の原因となった水銀を包括的に規制する「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議が3日、スイス西部ジュネーブで閉幕し、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止することなどで合意した。25年末での製造・輸出入禁止が既に決まっている電球形蛍光灯と合わせ、全ての一般照明用蛍光灯の製造が終わることになる。

発光ダイオード(LED)照明への切り替えが進んでいる日本は今回の協議を主導し、条約採択から10年の節目の会議で成果を出すことに貢献した。

企業活動にはかなり大きな影響のある条約なのですが、それほど大きく報道されていません。

一般市民からすると、従来型の蛍光管であろうと、LEDであろうと、「不燃ゴミ」として出すことに変わりはありませんので、それほど大きな関心を呼ばないのかもしれません。

一番影響を受けそうなのは、「蛍光管等に特化した産業廃棄物処理施設を導入した産業廃棄物処分業者」となりそうです。

ただし、あくまでも直管蛍光灯の「製造」と「輸出入」が2027年末で禁止されるだけであり、
「販売」と「使用」は従来どおり可能なままとなります。

したがって、直管蛍光灯の在庫が市中から完全に無くなり、直管蛍光灯の使用がゼロになるまでの間は、直管蛍光灯等の水銀使用機器の処分需要はなくなりません。

ただし、

日本照明工業会によると、日本メーカーで現在も蛍光灯を製造しているのは2社。

と記事に書かれているとおり、国内の大手メーカーは既に蛍光灯の生産を終了しているところがほとんどです。

「ブラウン管テレビ」という、昭和・平成初期の遺物と呼ぶべき廃棄物がいまだに一定量排出され続けていることを考えると、蛍光管の処分需要も製造中止後もしばらく続くことになるかもしれません。

しかしながら、テレビとは異なり、蛍光管は圧倒的に製品としての寿命が短いため、案外、処分需要が消える日はそれほど遠い将来ではない可能性があります。

これから、「在庫一斉処分セール」等で、市中の水銀使用照明機器の販売活動が加速していくと思われますので、2030年になるまでには市中から水銀使用照明機器の存在が消えるように思います。

実際には、工場や大規模オフィス等では、LED照明へ既に切り替え済みの企業が多いですし、「これからも大事に大事に水銀使用照明機器を使い続けたい」という企業や市民の数はかなり少ないように思えます。

そう考えると、水銀使用照明機器からLED照明への切り替えは益々加速するとともに、短期間で一挙に水銀使用照明機器の廃棄が増えると予測できますので、処分需要がなくなるXデーの到来はそれだけ早くなりそうです。

需要の継続が望めない以上、短期間で一挙に増える処分依頼にどう対処すべきかが、経営上の大きな課題となります。

もしも私がそうした処分企業の経営者なら、「一挙に増える依頼をこなすためにも、処分料金を値上げ」をします。

水銀使用照明機器に特化した施設の場合、近い将来に「陳腐化」、あるいは「廃止」が視野に入ってくる以上、その事業の店じまいを考えた価格設定にせざるを得ないからです。

または逆に、他の産業廃棄物の処分もセットで受けられるのであれば、水銀使用照明機器の処分費は少し安くする代わりに、全体的な売上増を目指すという手段を取ることも有りかと思います。

条約という国際的な潮流の変化により、事業環境が大きく変わることになりますので、その変化の流れを自社にとって有利な方向に活用したいものです。

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