業者の経営破綻の影響

2025年3月14日付 南日本新聞 「事業所跡にドラム缶や廃タイヤなど大量放置 南種子町の産廃業者に適正化求めるも善処なく県が代執行へ 25年度当初予算案に1億1000万円計上

 鹿児島県は14日、南種子町の産業廃棄物処理業者事業所跡に放置されている大量の産業廃棄物を行政代執行で撤去する計画を明らかにした。2025年度当初予算案に約1億1000万円を計上。今後も業者や土地所有者に自主的な撤去を求めるとともに、代執行した場合は費用の負担を求める。

 県議会環境厚生委員会で説明した。同町の●●社(筆者が伏せ字)が事業所跡に廃油ドラム缶約430本分、廃タイヤ約6200本、廃プラスチック約170立方メートルを放置。県は14年ごろから同社に適正な管理を指導していた。

鹿児島県の種子島の事案ですが、2017年に私はこの現場を直接見たことがあります。

2017年にGoogleマップで公開されていたストリートビューは次のとおり

公道際に設置された金網フェンスの高さを超える状態で産業廃棄物が保管されているため、この時点から既に産業廃棄物保管基準違反となります。

画像の奥には、処理前か処理後かはわかりませんが、大量の産業廃棄物が堆積したままとなっています。

2017年に私が現地前に立った時もほぼ同じ状況でした。

この後2024年現在の状況を掲載しますので、公道側に置かれた「2段積みのコンテナ」と、その奥に見える「(モザイク加工をした)廃棄物処分施設」の位置関係を記憶しておいてください。

2024年10月

同じ撮影角度ではありませんが、「コンテナ」と「廃棄物処分施設」はほぼ同じ場所にあると思われます。

2024年10月撮影の画像は緑に覆われている部分が多いため、産業廃棄物が無くなっているように見えますが、公道際を拡大すると、植物の下に金網フェンスが見えます。

そのため、2024年現在は、2017年当時の産業廃棄物の上に植物が繁茂したため、産業廃棄物全体を覆い隠した状態と考えられます。

産業廃棄物が一度堆積してしまうと、行為者自身が自発的に撤去する可能性は著しく低い、という実例とも言えます。

現在のところ目立った環境汚染は確認されていないが、廃油の流出や蚊などの害虫発生、飛散の恐れがあるとして、県は代執行の手続きを進めている。

公道際の金網フェンスが倒れると、そこでせき止めていた産業廃棄物の山が公道に崩れることになりますので、「産業廃棄物の飛散・流出のおそれあり」で、現状でも「生活環境保全上の支障が生じるおそれあり」と言えます。

実現すれば、鹿児島県として初めての行政代執行とのことですが、鹿児島県が平和だったのか、あるいは排出事業者と処理業者の全員が善良だったのか、はたまた・・・

「鹿児島県内の排出事業者と処理業者全員が善良だった」と考えておきます。

県は23年、同社代表者や土地所有者に24年11月までの廃棄物撤去を命じる行政処分を出していた。

一般的には、廃棄物処理法第19条の5の措置命令を発出する前に、行為者のみならず、委託者である排出事業者の責任の有無を調査することが通例となっています。

今回のケースでは、排出事業者に措置命令が発出されていないことから、排出事業者には委託基準違反が無かったのかもしれません。

しかしながら、このような処理業者の経営破綻に伴う不適正保管に巻き込まれた場合、「未処理の産業廃棄物」の撤去または処理を排出事業者に求められることがよくあります。

ひどいケースだと、処分費込みの収集運搬費用を前払いしたのに、紙マニフェストが返ってこず、改めて不法投棄現場から撤去する費用の負担が求められ、二重払いのような状況になることもあります。

委託先処理業者が未処理の産業廃棄物をため込むようになったら、黄信号どころではなく、既に赤信号と言わざるを得ません。

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