「ゴミ屋敷」強制撤去も 政府が検討?

「ゴミ屋敷」強制撤去も 政府が有識者会議、自治体支援など検討へ
日本経済新聞 2月1日付 朝刊より抜粋

政府は31日、住民が敷地内にゴミをため込む「ゴミ屋敷」などが周辺の環境に悪影響を及ぼしている問題の解決に乗り出す方針を固めた。2009年度中に有識者会議を設置し、問題を抱える地方自治体への支援策を検討。個人所有地内のゴミを強制撤去できるルールなど10年度までに具体策を取りまとめる考えだ。
有識者会議がまとめる対策には、廃棄物の不法投棄や雑草繁茂がひどい空き家や空き地などへの対応も含める見通し。政府は「治安や景観の悪化、周辺の不動産価値の下落をもたらす」(幹部)と見ており、問題解決に向けて国や地方自治体が積極的に関与する必要があると判断した。

冒頭の「政府」という表現が非常に曖昧です。
各省のHPの「記者発表内容」を調べてみましたが、それらしき発表がありませんでした。
環境省でも、経済産業省でも、内閣府でも、首相官邸でも、国土交通省でもないようです。
土曜日(1/31)に「幹部」がコメントした形になっていますので、本当に「政府」での決定事項なのか疑問に思います。
ひょっとすると、この記事でアドバルーンを揚げて、世論の反応を見ようということなのかもしれません(笑)。
ニュースソースがよくわからないので、真面目に論評する意義がないのですが、せっかくの機会なので、ゴミ屋敷問題について書いてみます。
正直なところ、ゴミ屋敷のゴミを撤去するのに国が関与するというのは、明らかに行き過ぎた話です。
国が予算を使って取り組むべき問題ではありません。もっと他に重要なことは山積みです。
個人の財産を、公権力が勝手に処分して良いのかという、憲法的な論議も必要になります。

できない理由を挙げるとキリがありませんので、どうすればゴミ屋敷問題を解決できるかを考えます。

各地のゴミ屋敷を全国一律で解決したいのであれば、「廃棄物処理法」を改正して、「廃棄物」の定義を今以上に明確にし、「悪臭などで周辺の生活環境に悪影響がある場合は、行政が代執行できる」くらいの強硬な規定にしないといけません。
現在の法体系では、日経の記事にもあるように、「ゴミではなく、財産なんだ」と主張されると、いくら行政と言えど、勝手にそれを撤去することはできません。
現行法を「柔軟に」解釈するだけでは、今までと同様、個人の財産権という憲法上大いに尊重すべき「障害」が残り続けます。
本当に解決したいのであれば、憲法や所有権に関する深い議論を深めていく必要があります。
「廃棄物管理の実務」ブログなので、憲法上の議論にこれ以上深入りはしませんが、ただ単に「迷惑だから」という理由だけでは解決しない問題が現実にはたくさんあります。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ