兵庫県も不法投棄監視に人工衛星活用へ

宇宙から産廃不法投棄を監視で既にお知らせしたとおり、人工衛星から撮影した静止画像を不法投棄の監視に使う自治体が出始めています。

「ついに」といいましょうか、私が以前所属していた兵庫県も、不法投棄の監視に衛星画像を使用することを決定しました。

※出典 神戸新聞

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001707586.shtml

記事によりますと、 「衛星画像40枚を約100万円で購入」とのことですので、画像1枚あたり2万5千円ということがわかります。意外と安いんですね。

その他、「人件費と備品の購入費」で約4,700万円とあります。人件費としては高額に見えるかもしれませんが、「17人分」の総額ですので、1人当たりの人件費は月額20万円にいくかいかないかというところです。

過去、平成14年から平成16年度の3年間に、兵庫県は「不法投棄監視サポート事業」として、県下各地に30人程度の監視員を配置し、今回と同様の事業を実施した実績があります。

その時の監視員の方も、「緊急雇用対策」として期間限定の嘱託形式で雇用(雇用契約は、県とではなく、事業の委託先である社団法人兵庫県産業廃棄物協会と)されていましたので、その時と同様の事業スキームとなるわけです。

そのため、この事業に関しては、兵庫県としてはいますぐ成果を出せる態勢にあるわけですが、個人的に私が懸念しているのは、監視員を設置することによって、逆に行政担当官の対応力が低下する傾向があることです。

実際に、私が在籍していた3年間に、その傾向が如実に現れておりました。

なぜ、監視員を設置することで行政担当官の力が低下するかをご説明します。

不法投棄現場のパトロールや現地調査などは、ほとんどの人がやりたがらない仕事です(私は好きでしたが 笑)。

夏は暑いし、冬は寒い。そして何より、不法投棄が行われている現場には、一筋縄では行かない反社会的な言動をはく人が多いものです。

多くの行政官は、机の上で書類を作ることは得意ですが、こうした「ホウリツ」が通用しない人と直接接することを嫌います。

そんな嫌な作業を、嘱託扱いで雇った人が熱心にやってくれるわけですから、行政側としては「渡りに船」の話です。

そうして、いつしか監視員の方の報告を聞くだけで満足してしまい、現場に行く回数も減少し、担当者にもっとも必要な「現場対応力」がさびついてしまう・・・

少し油断すると、目に見えない能力だけに、すぐに組織全体の対応力低下にも直結してしまいます。

現在、行政を担っている人には釈迦に説法かもしれませんが、監視員の設置や衛星画像の活用は、不法投棄撲滅のための「手段」であって「目的」ではありません。

全国の自治体におかれましては、効果的なツールを導入しただけで満足してしまうのではなく、ツールの導入によって新たに捻出できた時間を、現場対応力の強化といった目に見えないスキル形成に役立てていただきたいと思います。

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