環境省が低濃度PCB無害化施設認定を検討中

日本経済新聞の3月2日付夕刊に、「環境省が低濃度PCBの無害化処理施設認定制度の創設を検討中」との報道がありました。

NIKKEI NET 低濃度PCB混入の電気製品、無害化へ処理促進 環境省
※新聞報道よりもかなり簡潔な記事となっています。

環境省は最近各地の施設で、低濃度PCBの無害化処理実験をしています。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10831

実験では、「燃焼ガスを1,100℃以上の温度に保ちつつ、2秒以上滞留させて(PCBの)焼却処理」を行った結果、排ガス中のPCB濃度も問題ないレベルまで処理できることが確認できたようです。

拙著「最新産廃処理の基本と仕組みがよ~くわかる本」にも書いたとおりですが、今のところ、PCBの処理施設は、全国でも5か所しかありません。

その5か所の施設で処理できるPCB廃棄物は、PCBを絶縁油等に使用した「トランス」や「コンデンサ」などに限られており、他の雑多なPCB使用機器を処理することができません。

そのため、全国各地の事業所にある、トランスやコンデンサ以外のPCB使用機器は、処理してくれる施設がどこにもないため、そのまま保管し続けるしかなかったわけですが、今回の環境省の動きによって、ようやく「お荷物とおさらば」できる・・・・かもしれません。

「かもしれない」と書いたのは、新しく無害化施設の認定制度ができたとしても、それがすぐPCB処理の福音となるわけではないからです。

平成18年に「廃石綿の無害化処理施設の認定制度」ができましたが、それができたからといって、石綿の処理が劇的に改善したわけではないことを思い出す必要があります。

今回の動きは小さな第一歩であることは間違いありませんが、処理するものがPCBだけに、安易に規制を緩和しすぎると、取り返しのつかない事態になる可能性があります。

個人的には、PCBの処理状況が劇的に改善されるのは、あと5年以上かかると見ています。
でも、「PCB特別措置法」では、「2016年7月までにPCB廃棄物を処理すること」とされていますので、場合によると、法改正によって処理期限を延長なんてことになるかもしれません。
あくまでも、個人的な予想にすぎませんが。

ちなみに、最新、といっても平成18年の発表内容で、平成16年3月31日現在のPCB廃棄物の保管状況を掲出しておきます。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=6753

ここに載っている数値は、「廃棄物となったPCB使用機器」の数ですので、「現在でも使用中の機器」の数が反映されていないことに注意する必要があります。

PCB廃棄物を保管している事業者の方は、安全に処理できる順番が回ってくるまで、適切に保管し続けましょう!

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