報告徴収の義務違反で業許可取消(埼玉県)
4 処分理由
(被処分者)は、平成23年7月1日及び同年12月19日に廃棄物処理法第18条第1項の規定に基づき必要な報告を求めたところ、同社はその報告を拒否した。このため、同社に対し、平成24年9月4日に30日間の産業廃棄物収集運搬業の事業停止を命じるとともに、同一事由について同年10月4日に再度報告を求めたが、同社はその報告も拒否した。
このことは、知事が許可を取り消さなければならないとされる廃棄物処理法第14条の3の2第1項第5号に規定する、違反行為を行い、その情状が特に重いときに該当する。
先週、下記の行政処分事例を紹介したばかりですが、
報告徴収の義務違反で事業の全部停止処分(愛知県)
今回、埼玉県は報告徴収義務違反に対し、一度事業の全部停止処分をかけてから再度報告徴収を行い、それでも無視されたため業許可取消に踏み切った模様です。
慎重に手続きを進めるのも良いのですが、2012年10月4日で事業の全部停止処分が解けてから4カ月間ほどはいたずらに時間を無駄にしただけとなっています。
そもそも、軽微で明白な違反の場合には、わざわざ文書で報告徴収をするまでもなく、適切に行政処分や指導を行うだけの話です。
何度も報告徴収をしているということは、軽微な違反であるとは思えませんので、事業の全部停止処分後に迅速に行政処分を下す必要があったと思われます。
なぜこんなに回りくどいやりかたを取る自治体が増えたのかを疑問に思っていましたが、
「行政処分の指針」の報告徴収に関する項目で次のように解説されているため、その解説を忠実に踏襲しているようです(苦笑)。
(4) 報告徴収は、都道府県知事が産業廃棄物の適正な処理を確認する上で必要不可欠な制度であるから、許可を受けた処理業者による報告拒否・虚偽報告については、たとえ初めての違反であっても、その悪質性は高く、直ちに事業停止処分を課すのが相当であり、さらに度重なる報告拒否・虚偽報告については、「情状が特に重いとき」に該当するものとして、業の許可を取り消すのが相当であること。
多くの自治体担当者は、「さらに度重なる報告拒否・虚偽報告」というのを、「事業停止処分後に複数回(=度重なる)報告徴収をしろ」と解釈しているのではないかと思います。
日本語としてはそのような読み方も成立しますが
「行政処分の指針」には、上記のすぐ上の項目で
(2) 報告徴収は、刑罰による間接強制によってその実効性を担保する制度であるから、報告を拒否された場合あるいは虚偽報告がなされた場合は、捜査機関と協議の上で告発を行うなど、厳正に対処すること。
(3) 明示的あるいは黙示的に報告を拒否する場合のみならず、報告内容に著しい報告漏れがあるなど、意図的かつ実質的な報告の拒否と判断される場合には、報告拒否と扱って差し支えないこと。
と書かれていますので、「事業停止処分後に複数回必ず報告徴収をしろ」と官僚的なエクスキューズで言っているのではなく、
事業停止処分後に何回報告徴収をしたかというよりも、報告徴収の拒否は明確な法律違反として迅速なアクションが求められる
と解釈する方が真っ当ではないでしょうか?
そのため、事業停止処分後にいたずらに時間を空費するよりも、念押しの報告徴収をバシッと行い、それを無視した場合は即業許可取消でも何ら問題はありません。
自治体の方々には、使える武器は最大限有効に使っていただくことを希望します。
もちろん、武器(行政処分)を使う際には、公平の原則があることもお忘れなく。
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2013年2月25日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:行政処分