処理業者が吸収合併した場合の委託契約書再作成の要否
排出事業者が企業合併をした場合、契約内容に変更がない限り委託契約書を再作成する必要はない、と先日解説しました。
排出事業者が合併した場合に契約書の書き換えが必要か
今回は、処理業者が合併した場合に、委託契約書を再作成する必要があるかどうかについて。
結論から先に書くと、私は「再作成する必要あり」と考えていますが、「再作成する必要なし」と考える人も多数いらっしゃいます。
会社法の原則から言うと、消滅会社の契約内容の権利義務は当然に存続会社が承継しますので、処理業者の合併もそれと同様の話に見えます。
しかしながら、廃棄物処理法では、一般の契約原則とは異なり、法定記載事項や添付書類を厳格に規定し、契約書の作成を義務付けています。
そのため、産業廃棄物処理委託契約においては、廃棄物処理法が特別法とも言うべき存在になり、会社法や民法よりも優先される存在となります。
排出事業者の合併の場合は、法定記載事項に一切変更が生じないため、旧契約書のままでも間違いなく問題はありません。
しかし、処理業者の合併の場合は、
そもそもの委託基準において、「処理を委託する際には、他人の産業廃棄物の処理を業として行うことができる者に委託すること(廃棄物処理法施行令第6条の2)」と定められています。
ここで重要になってくるのが、「消滅会社の許可がいつ消滅するか」です。
一般的に、合併の効力発生日の前日までに、消滅会社の許可は失効していなければなりません。
例えば、4月1日にA社とB社の合併効力が発生し、B社が存続、A社は消滅する場合、
A社は業の廃止届を3月31日までに提出しなければなりません。
その結果、A社と排出事業者が結んでいた契約は、A社が業を廃止した時点で無許可業者となりますので、旧契約は失効すると考えるのが合理的です。
これが第一のポイントです。
ただ、一般的な契約書の雛型では、「処理業者の合併によって契約は当然解除される」という条文が入っていないため、
合意解除するしかないのですが、多くの場合、排出事業者の合併と同様に考えられうやむやにされているものと思います。
繰り返しになりますが、
廃棄物処理法では委託基準が厳格に定められており、産業廃棄物処理委託契約においては、会社法よりも廃棄物処理法の規定が優先されます。
また、廃棄物処理法の場合、合併に伴い業許可を移転する規定がありませんので、合併後に存続する会社が改めて業許可を取得する必要があることにも注意が必要です。
業許可以外の権利義務、例えば資産や負債などは、当然に存続会社が承継をすることになりますが、
業許可だけは移転する方法がありません。
これが第二のポイントです。
以上の2つのポイントから、
私は処理企業に合併が生じた場合は、新たな業許可に基づいた契約書の再作成が必要と考えています。
廃棄物処理法の条文を忠実に解釈し、法律の一般的な通則(特別法が一般法に優先する)も考慮すると、上記のように考える方が合理的かと思いますがいかがでしょうか?
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2013年2月26日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:委託契約書