マニフェストの虚偽記載で60日間の事業全部停止処分(埼玉県)
2015年10月15日付 埼玉県発表 「産業廃棄物処理業者に対する行政処分(60日間の事業停止命令)について」
2 処分内容
(1)産業廃棄物収集運搬業について
事業の全部の停止 60日間(平成27年10月16日から平成27年12月14日まで)
(2)産業廃棄物処分業について
事業の全部の停止 60日間(平成27年10月16日から平成27年12月14日まで)3 処分年月日
平成27年10月15日4 処分理由
C株式会社は、産業廃棄物管理票に、最終処分を行った場所と最終処分が終了した年月日について虚偽の記載をして管理票交付者に送付した。このことは、法第12条の3第5項の規定に違反する。(虚偽記載)
また、排出事業者から合計320回にわたり、産業廃棄物管理票の交付を受けていないにもかかわらず、産業廃棄物の引渡しを受けた。このことは、法第12条の4第2項の規定に違反する。(引受け違反)
違反回数や、最終処分情報の虚偽記載という事実から考えると、マニフェストに関する違反としては、かなり悪質な部類に入るように思います。
他の自治体においては、搬入量とマニフェスト上に記載された「数量」との照合確認が“たった一度だけ”おざなりであったという理由だけで、社長が逮捕された実例もあります。
そのため、本事例における度重なる違反事実と、実際に下された行政処分の内容を比較すると、自治体が違うとはいえ、いささか不公平な印象を受けます。
しかしながら、この手の違反を無自覚に繰り返している産業廃棄物処理業者が、かなり多く存在するのもまた事実。
産業廃棄物の引渡しを受けただけの段階でE票に最終処分場所と最終処分終了年月日を記載し、それを収集運搬業者のドライバーに返す(?)という違法な運用がそれに当たります。
また、マニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けることが常態化していたようですが、
これは2010年改正で新設された処理業者側の直罰の対象となる違反です。
マニフェストが交付されなくても日々の中間処理が滞りなく(?)行われていたということは、帳簿や二次マニフェストの運用がかなり独創的であったものと思われます。
現地確認に行った際には、処理業者の企業体質を見抜くためにも、実際の産業廃棄物受入れの様子に問題が無いかを確認すると良いでしょう。
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2015年10月26日 | コメント/トラックバック(3) | トラックバックURL |
カテゴリー:行政処分
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尾上さま
一応社内向けの廃棄物関連の管理部門にいる
「とある排出事業者の人間」と申します。
この手の行政処分は、過去に数例ありますが行われる度に疑問に思うのですが、
処理業者がマニフェストの交付を受けていないのは、排出事業者がマニフェストの
交付をしていないということになるかと思います。
この時点で、排出事業者も法違反になるかと思うのですが、行政側からなにかしらの
ペナルティなどは、行われるのでしょうか?
差支えなければ、ご見解をお聞かせください。
コメントいただき、ありがとうございました。
たしかに、排出事業者によるマニフェストの不交付は直罰の対象となります。
ただし、現実的な問題として、マニフェストが交付されていない以上、行政機関が
ある産業廃棄物の排出事業者を探り出すのは非常に困難でもあります。
そのため、このようなケースで、マニフェスト不交付の排出事業者にまで遡って
責任追及を行うのは非常に困難とも言えます。
とはいえ、道路検問などでマニフェストの不交付が発覚した場合などは、
排出事業者を特定するのも比較的容易な状況ですので、絶対に排出事業者に
ペナルティが与えられないとも言い切れません。
実感としては、処理業者への行政処分と言うペナルティに止まっている場合が
多いのではないかと思います。
尾上さま
とある排出事業者の人間です。
そうしますと業者としては、「行政処分」という重いペナルティーを
回避するためにとりあえず「サインだけしてください(涙目)」と全て
印刷されたマニフェストを渡さざる構造になっているかと思います。
個人的には、「行政処分」を受けたことがあれば委託先としては、回避
しますので、業者からすれば良いことがないと思います。
ご見解ありがとうございました。