愛知県がダイコーに改善命令を発出

環境省が公表した「食品廃棄物流出の再発防止策(案)」への意見を書くつもりでしたが、速報すべきニュースが入ってきましたので、そちらを先にご紹介します。

2016年2月29日付 愛知県発表 「産業廃棄物処理業者への行政処分(改善命令)について

 愛知県では、本日付けで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第19条の3の規定により、次のとおり行政処分(改善命令)を行いました。

1 被処分者
 住所 愛知県稲沢市奥田井之下町28番地1
 名称 ダイコー株式会社
       代表取締役 大西 一幸

2 行政処分の内容及び理由
(1) 行政処分の内容
 産業廃棄物の適正処理に係る改善命令(法第19条の3)

(2) 行政処分の理由
 被処分者が、下記アの場所で行っている他人から処理を受託した産業廃棄物(汚泥、廃油、廃酸及び廃アルカリに限る。以下同じ。)の保管は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」という。)第6条第1項第1号ハ及び同号ホ並びに同項第2号ロに定める産業廃棄物処理基準に適合していない不適正な保管であり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第14条第12項に違反している。
 また、被処分者が、下記イの場所で行っている他人から処理を受託した産業廃棄物の保管は、令第6条第1項第1号ハ及び同号ホに定める産業廃棄物処理基準に適合していない不適正な保管であり、法第14条第12項に違反している。
 このため、被処分者が下記ア及びイの場所で不適正に保管している産業廃棄物について、法に規定する産業廃棄物処理基準に適合させること。

ア 稲沢市奥田井之下町28番1及び28番2(本社工場)
  稲沢市北麻績町三反地28番1、29番及び30番1並びに同町沼28番及び29番

イ 稲沢市奥田井之下町35番
  稲沢市附島町郷東24番1、24番2及び24番3
  一宮市大和町馬引字古宮10番1

ウ 着手期限 平成28年3月4日

エ 履行期限 平成28年5月17日

3 その他
 特になし。

イやホという片仮名が乱舞しているため、一読しても意味がわかりません。

改善命令は、業者に法律の説明をすることが目的ではなく、法で定める基準に則って処理を行わせることが目的ですので、正確だが難解な日本語でも問題が無いとも言えます。

しかしながら、それを反面教師として受け止めるためには、やはり命令の対象や根拠を正確に理解する必要がありますので、片仮名暗号の注釈をしてみます。

まず、今回の命令は、業許可取得に伴う手続き上の不備に対する命令ではなく、「産業廃棄物の保管基準」という保管方法の不備に対する命令となっています。

2の「ア」と「イ」で命令の場合分けがされていますが、
「ア」には廃棄物処理法施行令の「第6条第1項第1号ハ及び同号ホ」並びに「同項第2号ロ」という2つの根拠条文が示されています。

一方、「イ」の場合は、「令第6条第1項第1号ハ及び同号ホ」の1つだけです。

そのため、「イ」の命令部分を先に考察いたします。

廃棄物処理法施行令の該当部分は、次のようになっています。

第六条 法第十二条第一項 の規定による産業廃棄物(特別管理産業廃棄物以外のものに限るものとし、法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物であるもの及び当該廃棄物を処分するために処理したものを除く。以下この項(第三号イ及び第四号イを除く。)において同じ。)の収集、運搬及び処分(再生を含む。)の基準は、次のとおりとする。
一  産業廃棄物の収集又は運搬に当たつては、第三条第一号イからニまでの規定の例によるほか、次によること。
ハ 産業廃棄物の積替えを行う場合には、第三条第一号ヘの規定の例によること。

廃棄物処理法施行令第三条第一号ヘ
一般廃棄物の積替えを行う場合には、次によること。
(1) 積替えは、周囲に囲いが設けられ、かつ、一般廃棄物の積替えの場所であることの表示がされている場所で行うこと。
(2) 積替えの場所から一般廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講ずること。
(3) 積替えの場所には、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。

ホ 産業廃棄物の保管を行う場合には、第三条第一号チ及びリの規定の例によるほか、当該保管する産業廃棄物の数量が、環境省令で定める場合を除き、当該保管の場所における一日当たりの平均的な搬出量に七を乗じて得られる数量を超えないようにすること。

つまり、「イ」の場所で保管されている産業廃棄物については、量が多かったり、悪臭を発散させるおそれがあるために、改善を命じたということになります。

「ア」の場所で保管されている産業廃棄物についても、量や悪臭対策の改善が命じられていますが、
「ア」の部分は、「施行令第6条第1項第2号ロ」という根拠条文が追加されています。

廃棄物処理法施行令第6条第1項第2号ロは、次のとおりとなります。施行令第6条については、上で既に紹介していますので、第2号ロの部分のみを抜粋します。

廃棄物処理法施行令第六条第一項第二号
ロ 産業廃棄物の保管を行う場合には、次によること。
(1) 第三条第一号リの規定の例によること。
(2) 環境省令で定める期間を超えて保管を行つてはならないこと。
(3) 保管する産業廃棄物(当該産業廃棄物に係る処理施設が同時に当該産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものの処理施設である場合にあつては、当該一般廃棄物を含む。)の数量が、当該産業廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に十四を乗じて得られる数量(環境省令で定める場合にあつては、環境省令で定める数量)を超えないようにすること。

似たような文言が並んでいますが、「産業廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に十四を乗じて得られる数量」という表現が入っています。

この条文は、「中間処理施設における産業廃棄物の最大保管数量は、中間処理施設の一日の処理能力の14倍以下」と規定しています。

つまり、改善命令の「ア」のカテゴリーに入る場所は、「無届で設置された倉庫」ではなく、「中間処理業の許可申請の際に申し出た、中間処理前の産業廃棄物の保管場所」となります。

平たく言うと、「中間処理場における処理前の産業廃棄物保管場所」です。

「ア」と「イ」では、法律上認められる産業廃棄物の保管数量が異なっているのです。

一般的には、「ア」の中間処理施設における保管数量の方が、「イ」の中間処理を伴わない保管場所よりも、認められる産業廃棄物の保管数量は多くなります。

運搬車両を100台以上有しているような場合は、「当該保管の場所における一日当たりの平均的な搬出量に七を乗じて得られる数量」が巨大になることも有り得ますが、現実的にはそのようなケースはほとんどありません。

以上、条文をあちこちから引っ張って注釈をしてみましたが、今回の命令を一言でまとめるならば、
「保管量が多く、悪臭発生のおそれもあるので、すぐに産業廃棄物を撤去、あるいは処理しなさい」となります。

もっとも、新聞報道によると、ダイコーは休業状態のようですので、改善命令の内容が履行される可能性はかなり低いと思われます。

着手期限までに改善命令の実行に着手しない場合は、改善命令違反として業許可が取消されることになりそうです。

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