開き直り=最強

当ブログ 2016年3月2日付 「愛知県がダイコーに改善命令を発出」の続報です。

2016年3月5日付 メ~テレ 「稲沢市の産廃処理業者 経営状態悪化で産廃の撤去は困難

廃棄されるはずだった食品が横流しされていた事件で、愛知県稲沢市の産廃処理会社「ダイコー」では、県の改善命令で4日から廃棄物の撤去が始まるはずでした。しかし経営状態の悪化で「撤去は困難」と回答していて、周辺には悪臭も漂い始めています。

愛知県には、これまでも「ダイコー」の悪臭について、苦情が寄せられていて、暖かくなると周辺への影響が広がるとみられています。2月、愛知県は「ダイコー」が無届けの倉庫などに廃棄物を保管していたとして、約3600立方メートルの廃棄物について、4日から撤去を開始し、5月17日までに終了するように改善命令を出していました。本来なら愛知県の改善命令で廃棄食品の撤去が始まるはずですが、現在も大量の廃棄物が残されています。県によりますと、「ダイコー」は3日文書で回答していて、取引先からの入金がないとの理由から、廃棄物について「自分たちで撤去するのは難しい」としているということです。ダイコーは廃棄処理を委託した食品メーカーに撤去を要請するということです。

報道では「4日から撤去を開始」とありますが、これは着手期限ですので、正しくは「4日までに撤去作業に着手すること」が命令されていました。

食品廃棄物を撤去するということは、再び別の場所で保管し続けることではなく、超過した保管容量に相当する食品廃棄物を「自社の事業場で処理する」か、「他の処理業者に再委託をする」しかありません。

幸い、今のところ愛知県はダイコーに対し「事業の全部停止処分」をかけていませんので、法的には中間処理をやろうと思えばできる状況です。

それを検討せずに、「金が無い」という理由で断念しているということは、ダイコー側にも「堆肥化は不可能」という認識があり、「他社に再委託するしかない」と考えているのかもしれません。

今回の記事の本題ではありませんが、なぜ愛知県はダイコーに対して「事業の全部停止処分」をかけないのでしょうか?

法的な拘束力がない単なるガイドラインではありますが、環境省が平成23年3月15日付で発出した、環廃産発第110310002号「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る法定受託事務に関する処理基準について」では、「電子マニフェストの虚偽報告」は「事業の全部停止処分30日間」が相当と例示されています。
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30日間という中途半端な営業停止ではなく、「改善命令違反で許可取消」を最初から“効率的に”狙っているのでしょうか?

しかし、飲食店で食中毒が発生した場合は、すぐに営業停止処分が下されることを考えると、電子マニフェストの虚偽報告が発覚した時点で、愛知県はすぐに事業の全部停止処分を下すべきだったと思います。

少なくとも、そうした方が、愛知県の違法行為に対する厳しい姿勢を明確に示せたと思います。

余談はこれくらいにしておいて、ダイコーの話に戻りますが、
別の媒体の報道では、「警察の捜査の関係でダイコーの銀行口座が凍結されているので、自主撤去できない」というものもありました。

真相がどちらかはわかりませんが、自由に使える金がないということに違いはなさそうです。

「メーカーに撤去を要請する」というのも、メーカーが廃棄物を置き去ったわけではないので、日本語としてはおかしなものに感じられますが、現実的にはそれしかないと言えます。

さて、今後予想される食品メーカー等の負担についてですが、「食品廃棄物の撤去費と処分費」は当然発生が予想されるコストです。

ただし、このコストは、食品メーカー等にとっては、それほど痛い出費にはならないと思います。

仮に、撤去費込みの処分費を1kgあたり50円とすると、4000kg(4t)でも200,000円。

企業としては支障なく負担できる範囲に収まります。

しかしながら、撤去費以上に深刻なのは、ダイコーの前で待ち構えた報道陣に撤去立会いの様子が撮影され、社名が公表されることでしょう(苦笑)。

もちろん、違法行為をしたために社名を公表されるわけではありませんが、
一度廃棄委託をした食品廃棄物を、雑然とした保管場所から再び取り出し、改めて別の処理業者のところへ出し直す、という光景は
ある意味シュールであり、視聴者に不適切なことをした企業だという印象を与えることになりそうです。

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