アベンジャーズ VS コンサルタント(その2 個人還元主義の危険性)

アベンジャーズ VS コンサルタント(その1)」の続きです。

前回は、「アベンジャーズ的商売」として、(主に排出事業者の)担当者をターゲットにした、
「廃棄物処理法に関する知識を身に着け、会社の危機を救おう!」
という宣伝が盛んになりつつあることをご紹介しました。

まっとうな「普及教育活動」であれば、公益に資するものとして、私ごときが批判する必要が無い事業ですが、
「個人の法的知識を増やすことで、会社の危機が防げる」と本気で思っているのであれば、
それはまっとうな思考ではなく、公益を装った収益事業でしかありません。

それならそうと、「金儲けをしたいんや!金儲けして何が悪い!!」と、真意を開示してくれると良いのですが、
そうした事業を企図する輩に限って、「日本のため」とか「公益のため」といった、耳障りの良いフレーズを使いたがるので辟易としています。

「コンサルタント」を名乗りながら、「法律違反が起こった原因を個人に還元」してしまう人は、私からすると物事の表層しか見ていない三流と言わざるを得ません。

たしかに、担当者の法的知識が不足しているからこそ、廃棄物処理法違反が起こるわけではありますが、
廃棄物管理は企業の事業活動の一環である以上、違反を起こした人間の個人的資質のみに着目することは的外れと言わざるを得ません。

「なんでだよ?法律違反をするのは個人そのものなのだから、従業員を教育するのが間違ってはいないだろう?」という疑問を持たれた方が多いかもしれません。

その疑問への反論としては、
つい最近(ひょっとすると今でも!?)まで、日本のゲンバで自明の真理のごとく崇められていた言葉をご紹介します。

「怪我と弁当は自分持ち」

安全管理においては、この言葉がもはや通用しない(弁当除く)ことは皆さんがご存知のとおりです。

「個人の法的知識を増やすことだけが、会社の危機を救う」という思想は、「怪我と弁当は自分持ち」を地で行く、問題発生の原因を個人のみに押し付ける点が危ういと言えます。

企業として廃棄物処理法違反を起こさないためには、
「構成員それぞれのレベルアップ」よりも「企業体としてのルール作り」の方がより重要なのです。

もっと具体的に言うと、「企業としてのルールが無い」状態で、構成員をいくら教育したところで意味が無いのです。

「企業としてのルール」が土台に無ければ、個々の構成員が身につけた知識が根付くことは決してありません。

花を咲かせるためには、植えた種が根付くための土壌作りが絶対に不可欠なのです。
※「水耕栽培もあるゾ」というツッコミはなしでお願いします。

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