「痛さ」と「予防」の相関関係

前回のブログ更新からまた1月近く空きました。

今回は、9月18日未明から右足親指の付け根に激痛が発生し、そこから2週間ほど「痛風発作」に悩まされ、執筆をする気力が無かったためです。

痛風発作自体は初めての経験でしたが、20年以上前から血液中の「尿酸値が高い」という指摘をずっと受けていましたので、驚きは無く、「とうとう来たか」という諦念しかありませんでした。

記事を執筆する気力はありませんでしたが、相談2件(うち1件は訪問)、講演2件(すべてZoom)を受託しておりましたので、痛みに耐えながらなんとかその依頼をこなすことはできました。

訪問相談の際、駐車場から社屋までのほんの少しの距離を歩くことが一番大変で、右足を引きずりつつ、一歩ずつ痛みをこらえながらの苦行となりました。

2週間の間まともに歩けませんでしたので、10月に入ってから歩き始めると、右足を無意識にかばいながら歩くという癖がついたことに気がつきました。

たったの2週間で、それまでの歩き方を忘れてしまっていたのです。

お陰様で、最近は痛風発作の痛みがほぼ無くなったので、減量を兼ねて積極的に歩く距離を伸ばした結果、忘れていた正しい歩き方に戻ることができました。

さて、長々と近況報告を続けてしまいましたが、ここから本日の本題となります。

痛風発作の痛みに懲りて、遅ればせながら、出版されたばかりの「健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと」という新書を購入し、精読をしているところなのですが、

冒頭の32pの

京都大学のグループが調査したところによると、健康診断で「高血圧」だという結果が出たときに、「病院に行ってください」と伝えられた人のうち、どれぐらいの割合が病院を受診するのかというと、上の血圧が160mmHg以上ある人でさえ、1年以内の受診率は3割程度だったと報告されています。

という記述が、自分の痛風症状とは無関係な部分の心に突き刺さりました。

「あ、これって、廃棄物処理法の実務周辺でも同じ状況だ!」と、日頃から疑問に思っていた問題の答えがわかったような気がしました。

「法定記載事項を網羅した産業廃棄物処理委託契約書と産業廃棄物管理票の運用は、排出事業者の最低限の義務ですよ」というお題目を繰り返し唱えても、その重要性を理解してくれる人の数がなかなか増えないことに長年心を痛めていたのです(笑)。

もちろん、私のブログやメールマガジンの読者の方は、数少ないその理解者ばかりであることを確信しておりますが、世の中の関係者全員の数からすると、その割合は非常に小さいと言わざるを得ません。

実際に、「報告徴収」や「逮捕」された場合は別で、皆様漏れなく真剣に取組み始めます。ただし、その熱意を数年後まで保持し続けられる企業はやはり少ないです。

病気の場合、私のように「痛み」や「恐怖」を経験してから、初めて摂生に努め始める人が大多数かと思いますが、
「廃棄物処理法違反」という、一般的な人からすると「存在するのかどうかもわからない痛み」の場合は、対処する必要性すら感じないことが多く、「わざわざ自分の仕事量を増やしてまで取組むべき課題ではない」としか思えないのが当然なのかもしれません。

「リスク」と「予防の必要性」の両方を意識できる人ばかりであれば、私の事務所の電話はひっきりなしに鳴り続けるはずですが、もちろんそんな状況にはありません。

自分自身の差し迫った健康問題であっても、「3割」の人しか改善行動を始めない現状を考えると、廃棄物処理法関連のリスクの場合は、「1割以下」の人にしか響かないと考えた方が良さそうです。

上記の本には、尼崎市役所で長年職員の健康指導に携わってきた著者の野口緑さんが、「診断結果のリスクを正確に受け止めてもらうために行ってきた工夫」の数々が紹介されていますので、そのエッセンスを廃棄物管理実務にも応用できないかを検討したいと思っています。

「後悔先に立たず」ですので、「既に自分の健康状態に懸念がある人」のみならず、「数値にちょっとだけ異常が見つかった」という若い人にもお薦めの一冊です。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ