典型的なリサイクル事業失敗事例

地方自治体が出資したれっきとした第三セクターであるにもかかわらず「許可証偽造」をした結果、許可取消された「豊前開発環境エネルギー」。

※許可証偽造から許可取消の経緯については、当ブログ2022年3月25日付記事 「無許可変更による業許可の取消(福岡県)」をご参照ください。

許可が取消された現在になっても、いまだに地元関係者に大迷惑をかけているようです。

2023年9月12日付 朝日新聞 「大量のリサイクル材が県の港湾用地を「占拠」 豊前の三セク産廃会社

 福岡県豊前市の第三セクターの産業廃棄物処理会社が、市内の宇島港にある県の港湾用地を「不法占拠」する状態になっている。大量のリサイクル材を野積みしているが、土地使用料の支払いが滞って県から撤去を求められている。だが、会社は営業停止中で撤去のめどが立っていない。関係者は対応に苦慮している。

(中略)

 県京築県土整備事務所によると、同社は周防灘に面した港湾用地3区画(計約1万1千平方メートル)を19年以降に借り、出荷に向けてリサイクル材を野積みしていた。だが、行政処分後の22年度の土地使用料の一部が支払われなかったため、県は23年度の使用更新を認めず、リサイクル材を撤去して原状回復するよう指導した。だが、5カ月が過ぎた現在も放置が続いている。

産業廃棄物処分業の許可が取消されたとはいえ、法人自体は存続しているわけですから、行政財産使用料の支払いを年度途中で“バックレる”というのは、お役所的企業である第三セクターとしては考えにくい荒業です。

借りた土地にリサイクル材という不良在庫を大量放置とは、第三セクターとしては有り得ないレベルのお行儀の悪さです。

 同社によると、野積みしたものは全て加工済みの製品で「約2万5千立方メートルあり、撤去には億単位の費用がかかる」。県に対して、営業停止に伴う資金難で撤去費を出せないが、引き取り先を探していると説明しているという。

福岡県が出していた許可内容は、「燃え殻」と「ばいじん」を「路盤材」または「覆砂材」へと造粒固化するというものでしたが、これだけ大量の不良在庫が積みあがっている様子を見ると、最初から事業全体では採算性が取れていなかったように思われます。

「現在引き取り先を探している」とのことですが、「買い取ってくれる事業者」しか探していないのであれば、全量撤去までの道のりは非常に長い、というよりは達成不可能かもしれません。

「無料であげます」と募った場合でも、路盤材等は造成工事でしか使いませんので、肝心の工事が発生しない限り、需要も発生しません。

引く手あまたの人気製品であれば、製品を作った途端に購入先へ納入となりますが、
これまで失敗してきたリサイクル事業の多くが、不良在庫を積み上げることを一切気にせず、リサイクル品製造のみにまい進するという、「狂気に駆られた」と言わざるを得ない行動を続けた結果、不良在庫を残したままあえなく倒産という末路をたどっています。

残念ながら、上記の第三セクターも、その末期の様相を呈し始めたようです。

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