下取り品の排出事業者は誰か(大阪府のFAQより)
「灯台下暗し」で、身近な自治体がこのような充実した疑義解釈を公開していることを知りませんでした。
HPのトップページから4階層下と非常にわかりにくい場所にあるため、検索をかけない限りは、非常にわかりにくい情報だったからです。
掲載されている内容としては、かなりの数の疑義解釈が示されています。
そのため、中には、FAQというよりは「マニアック」と言った方が良い内容のものもあります(笑)。
論理が明快で、多くの方にとって有益だと思いますので、当ブログでも取り上げていくことにします。
ブログの性質上、1回につき1個のFAQしか取り上げませんので、FAQの全部をすぐ知りたい方は、
大阪府 よくあるご質問(FAQ) をご一読ください。
Q1 使用済み製品をユーザーから下取りする販売事業者は排出事業者になるか?
A1
通常は製品のユーザーが排出事業者になりますが、次の1から5の条件をすべて満たす場合には、廃棄物処理法の特例である「下取り」として販売事業者が排出事業者となることができます。この場合は、下取りをした販売事業者が、販売事業活動に伴い排出される産業廃棄物の排出事業者として処理責任を負うことになり、廃棄物処理法の規定に従い適正に自社処理又は委託処理を行うことが必要になります。(有価物として売却することもできます。) また、ユーザーから引き取った時点が産業廃棄物の発生時点となり、使用済み製品を家庭から下取りする場合でも、産業廃棄物の種類(20種類)に該当する場合は、一般廃棄物ではなく販売事業者が排出する産業廃棄物に該当することになります。1.新しい製品を販売する際に使用済みの製品を引き取ること。
・商品の販売と引き取りのタイミングに社会通念上許容されるタイムラグがあってもよい。
2.同種の製品で使用済みのものを引き取ること。
・同種製品であれば、自社製品でなくてもよい。
・引き取る使用済み製品の量が販売する製品の量と比べて著しく過大でないこと。
・販売した製品のうち未使用の部分のみを引き取ってもよい。(中味をユーザーが使用し容器のみを引き取る場合など)
3.無償で引き取ること。
・取引明細上、「下取り料金」と解釈される項目がないこと。
・製品の販売価格に使用済み製品の処理料金を上乗せするような脱法的な行為は認められない。
(注)使用済み製品を買い取ってもらう場合は、当該使用済み製品は有価物に該当するものであり、そもそも廃棄物処理法は適用されない。
4.使用前後で性状が変化していないこと。
・性状が変化するので「下取り」とは認められない例 クリーニングカートリッジ、劣化した濾材、劣化した溶剤
5.当該下取り行為が商慣習として行われていること。
・ユーザーが販売事業者に対して製品購入時に使用済み製品の下取りを強制している場合は、商慣習として成立しているとは言えない。
全体的な内容としては、私も賛同できる論理構成ですが、実務的な観点から若干の問題点を指摘しておくと、
「4」の「使用前後で性状が変化していないこと」も、元々の旧厚生省の通知には書かれていない条件なので、これも大阪府独自の味付けかと思います。
言いたい趣旨はよくわかりますが、大量の異物が付着し、製品とはみなせない状態の物でない限りは、下取り品の対象にしても問題はないだろうと考えています。
劣化した濾材なんてのは、下取りの対象としてドンドン回収を進めるべきものだと思います。
根本的に重要なこと
「販売事業者自ら無償下取りを運搬する場合は収集運搬業の許可不要」というのは、法律で明示された基準ではなく、単なる行政解釈である「通知」にしか根拠がありません。
そのため、「下取り回収だから無許可でOK」と、独自に拡大解釈をするのは非常に危険です。
行政に相談するのも良いですが、油断をすると、行政の権限外のことまで手を突っ込まれることがありますので、やはり相談する側のリテラシーがまず不可欠です。
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2012年5月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:疑義解釈