許可申請時の技術管理者の確保(平成5年3月31日付衛産36号より抜粋)

(許可申請時の技術管理者の確保)
問60 処理業の許可申請時において産業廃棄物処理施設に技術管理者を確保できないことが明らかな場合、不許可とすることができると解してよいか。
答 お見込みのとおり。

※注釈
「技術管理者」は、廃棄物処理法第21条で、廃棄物処理施設に設置が義務づけられている人材です。

単なるお飾りではなく、「廃棄物処理施設を維持管理する事務に従事する他の職員を監督しなければならない」という、法律上の責務を課された責任者でもあります。

技術士その他の資格や、特定の学歴を有した人がその職に就くことが認められていますが、
資格や学歴等の要件を限定しすぎてしまうと、候補者がほとんどいなくなってしまうため、
一般的には、一般財団法人日本環境衛生センターの講習会を受講し、「技術管理士」として認定を受けるケースが大半だと思います。

そのため、受講費と受講スケジュールの確保さえできれば、すべての企業で取得可能な資格要件ですので、
「技術管理者を確保できないことが明らか」という状況は逆に想像しにくいです。

ただし、昨今では、新型コロナウイルス流行の影響で、講習の開催回数が減っているため、半年以内の受講は不可能というケースもままあるようです。

法的には、産業廃棄物処理施設に技術管理者の設置は不可欠であるため、技術管理者不在をもって、業許可の申請に対し不許可処分を科すことも可能といえば可能ですが、「ハイ!技術管理者がゼロ人になったから、お前の会社終わりな!」と、冷酷に不許可処分を行う自治体はおそらく皆無だと思います。

ホモサピエンスが審査をしている自治体ならば、「申請書に講習の申込みをした証拠を付けてくれれば、先に審査を進めておきますので、なんとか許可日までに修了証を取ってきてください」と、申請者の是正を促すことと思います。

質疑にあるような修羅場、別の言い方をすると、不許可とされてもおかしくない状況を考えてみると、
申請者が法人ではなく、個人事業者で、
かつ、その個人事業者自身は技術管理者に絶対にならないと宣言し、
さらに、使用人も技術管理者に絶対にさせない、
と、宗教的熱情をもって技術管理者制度を否定するようなケースとなりましょうか?

フツーの人間の思考ではこうした境地にたどり着けませんので、この質疑が現実化する可能性は限りなく低そうです。

もっとも、世の中には、こだわりが強い人もいらっしゃいますので、私のような凡人の想像の斜め上を行く人がいたとしてもおかしくはありません。

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