収集運搬業者(積替え保管無し)にも現地確認するべきか
先日行ったセミナー終了後に、複数の方から同じ質問をいただきました。
「社内ルールとして、収集運搬業者にも現地確認を行うようにしたのですが、問題ないでしょうか?」というものです。
答え自体は簡単で、法で禁止されていない以上「問題ありません」となりますが、
果たして、積替え保管をしない収集運搬業者の現地確認を行う意味はあるのでしょうか?
もちろん、積替え保管を委託している場合ならば、必ず現地確認を行うべきです。
積替え保管業者の中には、自社が二次マニフェストを交付可能と誤解している企業が多々ありますので、
保管状況や法令への理解が適切かをチェックする必要があります。
しかし、積替え保管なしの収集運搬業者の場合、そもそもの現地(=委託先処理業者の処理状況)確認を行うべき事業場が存在しません。
そして、委託業務完了報告として、マニフェストB2票がその都度返送されますので、委託者も必ず把握しています。
また、仮に積替え保管無しの収集運搬業者の事務所などを訪問したとしても、車庫くらいは見ることができるかもしれませんが、廃棄物処理に関する遵法性の確認としては、マニフェストの保存状況か帳簿の整備状況くらいとなります。
マニフェストは先述したように、その都度委託者にも返送されてくるわけですので、あえて収集運搬業者のマニフェスト保存状況を見る意味はほとんどありません。
「マニフェストB1票を全然保存していません」という業者なら危険と言えますが、現実的にはそのような業者と取引をしてしまう可能性は著しく低いと考えられます。
産業廃棄物処理業者を指導監督する行政においても、違法行為をしているという兆候が無い限り、積替え保管無しの収集運搬業者に対して立入検査を行うことはほとんどありません。
行政の人的リソースと予算は無尽蔵ではありませんので、効果と必要性の少ない収集運搬業者に立入検査を行うよりも、他の現在進行中の事案の現場に行くことが優先されるのが当然です。
結論としては、与信管理の一環として、「取引先の事業所を必ず一回訪問して確認する」というルールを決めている企業以外は、積替え保管無しの収集運搬業者の事業場を訪問する必要は無いと言えます。
現地確認は、委託先業者の信頼性や遵法性を確認するための行動ですので、行政以上に厳しいチェックリストを作成し、業者の些細な間違い探しをすることが目的ではありません。
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2013年12月6日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
カテゴリー:委託基準
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コメント
こんにちは。先日ご質問させて頂きました、都内収集運搬会社社員の僕はハトです。
職業柄、排出事業者の処分先への現地確認の同行や立会いは近年、法の要請もあり頻繁に行っておりますが、20年位前は一部の大企業位しか行っていませんでした。今は逆に全く行わない会社の方が珍しい程ですよね。
ところで収集運搬業者への現地確認の必要性ですが、個人的には法的必要性以前に、積み替え保管の有無にかかわらず少なくとも処分業者への訪問と同じ位に行った方がいいのでは、と感じています。
あえて自戒の意味もこめて書きますが、不法投棄等や委託基準違反等の違反に収集運搬業者が加担、もしくは契約上知らず知らずのうちに加担した事になっている事が、問題化していないものも含めてかなり見聞きしました。そしてそういう業者は大体、その会社と車庫を見ればほぼその兆候が出ているものです。
俗に言う収集運搬業者がアタマで仕切っている契約は特に注意が必要です。特に車庫の敷地内や運転手の管理が不十分であったり、車両がどれも汚かったり、地面に廃棄物の欠片が散乱していたりする等、経験上社内や車両基地の管理体制のレベルが低いと感じる会社は、業界でいい噂を聞かない会社が多いのも事実です。
もちろん見た目では分からない事もありますが、少なくとも余力がある排出事業者は処分業者とセットで収集運搬業者を定期に訪問し、その時は必ず車両基地等に赴いてよく観察される事をお奨め致します。
尾上様には釈迦に説法とは存じますが、業者の立場からあえてコメントさせて頂きました。失礼致しました。
僕はハト 様 コメントいただき、ありがとうございました。
与信管理の一環として、取引先の事業場を実際に訪問し、会社の社風や信頼性を確認することが重要というご指摘には私も賛成です。
その意味で、実質的な意味での現地確認においては、収集運搬業者の事業場の確認も必要というご意見にも共感しますし、余裕があるならば実際に行った方が良いとも思います。
ただ、本質的な意味での収集運搬の委託契約においては、委託者が運搬先を業者に指定するのが筋ですので、
確認をするべきなのは、「確実に運搬が終了したのか」と「いつ運搬が終了したのか」の2点だけであるのも事実です。
ご指摘いただいたケース(といってもそれがほとんどの企業の現状でもありますが)は、「運搬業者の言いなりで契約をする委託者」というそもそもの排出事業者責任を誤解している企業への警鐘と受け止めました。
信頼できない業者の実態例等、非常に参考になりました。
ご指摘ありがとうございました。