専ら物の処理委託契約書の注意点

前回の記事 「委託契約書の法定記載事項」 の続きとなります。

前回の記事では、「契約書とマニフェストの運用の関係で問題になりやすい点は何か?」という問題提起をしました。

その答えは、「受託業務終了時の委託者への報告に関する事項」です。

具体的な状況としては、今回の記事の題名となる「専ら物の処理委託を行う場合」となります。

専ら業者の定義

専ら物の具体的な例として、「鉄スクラップ」を製鉄会社に売却する場合を考えてみましょう。

製鉄会社は鉄スクラップを買い取ってくれますが、製鉄会社に搬入するまでの運送費の方が製鉄会社の買値よりも高い場合は、いわゆる「逆有償」となります。

製鉄会社及び製鉄会社に搬入する事業者が「専ら再生利用の目的となる廃棄物のみの収集運搬または処分を業として行う者」に該当する場合は、それらの事業者は「専ら業者」として、廃棄物処理業の許可無しに、廃棄物の収集運搬や処分を行えます。

これは、市況変動により、運送費の方が高くつく逆有償であっても変わらない原則です。

専ら業者に対するマニフェストの要否

廃棄物処理法施行規則第8条の19第三号により、
「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合」は、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付不要と定められています。

そのため、
「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者」に鉄スクラップを引き渡す場合は、マニフェストを運用する義務が無いことになります。

ここで注意が必要なことは、マニフェストの運用義務が外れるのは、
「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者」に処理委託をする場合であり、
「専ら物そのもの」がマニフェスト不要となるわけではないことです。

つまり、「物」ではなく、「専ら業者」というプレイヤーに「専ら物」を渡す場合のみが、マニフェスト不要となります。

逆に、最終的には製鉄会社に搬入されることにはなるが、製鉄会社までの運搬は、専ら業者には該当しない産業廃棄物処理企業が行う場合は、製鉄会社に搬入されるまでの間、マニフェストを運用しなければなりません。

専ら業者に対する委託契約書の要否

専ら業者にはマニフェストの交付は不要でしたが、逆有償になる場合は、委託契約書の作成と保存が必要となります。

その理由は、廃棄物処理法では、委託契約書の運用義務が免除される規定が置かれていないためです。

そのため、産業廃棄物廃棄物処理業の許可が要らない専ら業者であっても、「売却」ではない「逆有償」に該当する状況では、産業廃棄物処理委託契約書が必要となります。

鉄スクラップを例にすると、逆有償になる場合は、製鉄会社に搬入されるまでの間は、たとえ専ら業者が委託先だったとしても、「産業廃棄物収集運搬委託契約書」が必要です。

マニフェストと契約書の整理

鉄スクラップを例とすると、

専ら業者に運搬をしてもらう場合(逆有償のケース)は、
マニフェストの交付は不要だが、
収集運搬委託契約書の作成と保存は必要 となります。

専ら業者でも委託契約書の作成が必要なことに注意

さて、ここで冒頭の法定記載事項である「受託業務終了時の委託者への報告に関する事項」に戻ります。

この内容については、多くの契約書雛型では、
「マニフェストの返送をもって、業務終了報告とみなす」という内容の書き方がされています。

しかしながら、専ら業者に対しては、マニフェストの交付自体が不要となりますので、委託者に返送すべきマニフェストが最初から無いことになります。

「マニフェストの交付不要だから受託業務終了の報告をしなくても良い」ことにはなりませんので、マニフェスト以外の方法で、「運搬終了の報告」をしてもらうことになり、収集運搬委託契約書でその方法を決めなければならないのです。

必要なことは、「報告に関する事項」だけですので、
マニフェストのように、「運搬終了後10日以内に報告せよ」という規制はありません。

そのため、「毎月末に運搬終了報告を書面で行う」という決め方も可能です。

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