電子マニフェスト普及のためのロードマップ

平成25年10月7日付環境省発表 電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップの策定について(お知らせ)

 今般、環境省では、「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」を策定しましたのでお知らせします。
 同ロードマップは、目標達成のための取組として、産業廃棄物の排出事業者や行政機関等が電子マニフェストを活用するための方策や利便性向上のためのシステム改善等についてまとめたものであり、今後は同ロードマップに基づいて普及促進を図ります。

1.ロードマップ策定の背景
 電子マニフェストは、排出事業者や産廃処理業者にとって情報管理の合理化につながることに加えて、廃棄物処理システムの透明化や不適正処理の原因究明の迅速化を図ることができるなどのメリットがあります。その一方で、電子マニフェストは、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者が加入しないと機能しないことなどから、その利用が進みにくい状況にもあります。
 これまで、普及促進のための取組として、排出事業者が加入しやすい料金体系に改定してきたほか、利用者の利便性向上のためのシステム改善、操作説明会の開催などの普及啓発に努めてきましたが、平成24年度末の普及率はまだ約30%にとどまっています。
 本年5月に閣議決定された第三次循環型社会形成推進基本計画においては、電子マニフェストの普及率(利用割合)を平成28年度において50%に拡大することが目標に掲げられたことを踏まえ、今般、この目標を達成するためのロードマップを策定したものです。

2.達成すべき目標
 平成28年度において電子マニフェスト普及率(利用割合)を50%とします。

3.目標達成のための主な取組
(1)排出事業者の加入促進
 多量排出事業者に対しては、自治体と連携した説明会の開催や、多量排出事業者の割合が高い業界団体を通じた加入促進を図ります。また、少量排出事業者に対しては、関連する業界団体と共同説明会を開催するなど業界団体を通じて加入促進を図ります。
(2)行政機関の利用促進
 国、地方公共団体等が発注する公共工事での利用促進を図るため、発注部局に対して電子マニフェストの率先的な活用を要請します。
 また、国、独立行政法人、地方公共団体に対し、環境配慮契約法における産業廃棄物の処理に係る契約において、電子マニフェストの利用及び環境配慮契約を積極的に推進するように要請し、産業廃棄物の処理委託に係る入札において、電子マニフェストの加入者が有利になる環境を整備し、加入のインセンティブを高めていきます。
(3)電子マニフェストの利便性向上のためのシステム改善
 電子マニフェストの利便性の改善や利用者サービスの向上は加入のインセンティブを高め、利用件数の拡大を支える重要な要素となります。このため、利用者からの要望が多いものを随時システムに反映し、加入者がさらに利用しやすいシステムに改善していきます。当面は、収集運搬終了報告の利便性向上、新EDIシステムの構築、スマートフォン等に対応したシステムの開発に取り組みます。
(4)普及促進策の充実
 電子マニフェストシステムの仕組みや利用のメリット等についての啓発資料を充実させ、展示会等への出展やインターネット上での広報などを行います。
 また、電子マニフェストのメリットや運用方法の周知を図るための電子マニフェスト研修会やインストラクターを派遣した操作講習会を更に充実させます。
 さらに、電子マニフェスト加入時の経済的負担を軽減するための普及促進キャンペーンを実施します。

ロードマップ を読むと

マニフェストの交付枚数の少ない排出事業者(以下「少量排出事業者」という。)や小規模の産廃処理業者にとっては、利用料金の割に導入メリットが小さいと捉えられ、導入を躊躇していること等から、その利用が進みにくい状況である。

と、真摯に分析していますが、
より正確に表現するならば、「導入を躊躇している」わけではなく、「電子マニフェストの存在すら知らない」事業者が大部分です。

導入しようか迷っている人に利便性を説くのは有効ですが、
存在を知らない人や、そもそも必要性を認識していない人に利便性を説いても、普及効果は期待できそうにありません。

そのような零細事業者にアプローチするための方策として、

(イ)少量排出事業者に対する加入促進
少量排出事業者は数が多いため、各企業に対して個別にアプローチするより、業界団体を通じて、個別の事業者に加入を働きかけることが効果的である。そのため、業界団体等と共同説明会を実施するなどにより、少量排出事業者の加入促進を図る。

と、かなり的外れの方針が示されています。

業界団体による啓発が本当に有効なのであれば、現在既に、電子マニフェストの普及率は100%近くになっているのは間違いありません。

環境省が考える「少量排出事業者」がどんな業種であるのかはわかりませんが、
実際には、飲食店や工務店、個人経営レベルの小売店など、業種は多岐に渡っています。

その業界に従事するすべての事業者に加入が義務付けられる業界団体というものもほとんどありません。

では、どうすれば良いか?

その答えは簡単です。

現実的には非常に難しい話ですが、
法律を改正し、紙ではなく、電子マニフェストの運用を義務付けることです。

もう少し現実的な方法としては、
電子マニフェストの導入と運用コストを無料同然まで値下げすることです。

そのためには、スマートフォンのアプリケーションで電子マニフェストの運用を可能とすることが不可欠です。

電子マニフェストという道具を普及させたいのであれば、使用コストを年々下げ続け、誰でもすぐに使用可能な状態にさせなければ、爆発的に短期間で普及させることは望めません。

環境省の高級官僚の皆様におかれましては、
机だけで考えた空論ではなく、世の中で流通している色々な商品を実際に使ってみて、電子マニフェストの具体的な普及策を考えていただくことを希望します。

最後に、今回発表されたロードマップを掲載しておきます。

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