契約期間満了後にマニフェストが返ってくると違法か(収集運搬編)
昨日の記事 「委託契約の有効期間」の取扱い の続編です。
今回は、委託契約の有効期間満了後にマニフェストが返ってきた場合の取扱いについて検討します。
マニフェストの返送と一言で言いましても、色々なパターンが考えられますので、収集運搬や中間処理といった、具体的な委託契約の内容ごとに整理をしていきます。
収集運搬委託を委託していた場合
収集運搬の委託契約の最終ゴールは、「委託者が指定した場所への産業廃棄物の運搬終了」です。
そのため、収集運搬業者は運搬委託契約に基づき、契約の有効期間内に運搬を終了させる義務を負います。
ただし、この義務は、廃棄物処理業者としての法的な規制に基づく義務というよりは、主に、契約の当事者として契約内容を実行するという民事上の責任を指します。
さて、委託業務進行のプロセスは、
「1.契約」→「2.廃棄物の回収」→「3.指定された場所への運搬終了」→「4.委託者へのB2票の返送」まで至る必要がありますので、
「4.委託者へのB2票の返送」までを契約の有効期間内に終わらせるのが本旨となります。
契約期間内に1から4まで円滑に進んだ場合は、何の問題もありません。
では、3の「運搬終了」が契約有効期間のギリギリ最終日だった場合はどうでしょうか?
契約有効期間内にマニフェストB2票を返送する必要があるので、委託者のところにトンボ返りをしてB2票を手渡しする必要があるのでしょうか?
廃棄物処理法の条文や環境省の通知には、そのようなケースで取るべき手続きが書かれていませんので、以下私見となりますが、
法的なマニフェストの返送期限は「運搬終了後10日以内」ですので、委託者との契約有効期間内にB2票を到達させる必要はないと思われます。
そう考える最も大きな理由の一つは、
廃棄物処理法に「マニフェストの返送は契約の有効期間内に行わないといけない」とは書かれていないからです。
もっとも、廃棄物処理法には、収集運搬業者の義務として「契約の有効期間内に産業廃棄物の運搬を終えなければならない」とも書かれていません。
それが、上記の「この義務は、廃棄物処理業者としての法的な規制に基づく義務というよりは、主に、契約の当事者として契約内容を実行するという民事上の責任を指します。」という表現をした理由でもあります。
一方、委託者側の義務はどうなるかについてですが、
「マニフェスト交付日から90日以内にB2票が返送されてこない」という条件に当てはまらない限りは、生活環境保全上の支障除去や都道府県知事への報告は必要ありません。
一般的には、マニフェスト交付日から運搬だけで90日もかかることはまずありませんので、B2票がいつも通り返送されてくるのを待てば良い、ということになります。
以上、極端な日付設定を例としましたが、契約の有効期間とマニフェスト返送受領日の関係性について考察しました。
収集運搬の場合はこのように簡単に割り切れますが、次回は収集運搬よりも複雑な中間処理委託のケースで考えてみます。
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2014年8月29日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:産業廃棄物管理票(マニフェスト)