契約期間満了後にマニフェストが返ってきた場合の整理(中間処理編)

小型家電リサイクル事業者認定の記事で1回飛びましたが、
契約期間満了後にマニフェストが返ってくると違法か(収集運搬編) の続編です。

結論を先に書くと、
前回の記事でも解説したとおり、契約期間内に委託した産業廃棄物処理が終わっていれば、マニフェスト(D票やE票)の返送が契約期間満了後だったとしても法律違反にはなりません。

委託契約の有効期間と、マニフェストの返送期間の規制はまったく別物で連動していないためです。

念のために、委託業務進行のプロセスを中間処理でも検証します。
「1.契約」
「2.廃棄物の受入れ」
「3.中間処理完了」
「4.収集運搬業者にC2、委託者にD票の返送」と、
ここまでが中間処理委託契約で定められた委託業務の内容です。

ただし、中間処理の場合は、ここからさらに最終処分委託を行うことがほとんどですので、
「5.最終処分業者への搬出(二次マニフェストの発行)」
「6.最終処分場への運搬終了」
「7.最終処分終了」
「8.最終処分終了報告が最終処分業者から中間処理業者に届く」
「9.中間処理業者から委託者にE票の返送」という段階に至り、
委託者の排出事業者責任がようやく満たせたことになります。

契約の本旨としては、中間処理の場合は、上記の「3.中間処理完了」までは契約期間内に終える必要があります。

ただし、これは前回の記事でも解説したとおり、廃棄物処理法の規制というよりは、「契約に基づく中間処理業者の義務(債務)」です。

中間処理の場合は、このようにマニフェストE票が返送されるまでの期間が長くなりますが、
公共発注工事で、「契約期間内にマニフェストE票まで返してくれないと困る」と発注者の行政から求められることがあります。

早め早めの進行で、契約期間内に問題なくE票の返送ができるゆとりがあるのであれば、それが一番理想的ではありますが、
no
「行政が早くE票のコピーを見せろと言っているので、中間処理終了年月日と最終処分年月日を改ざん」してしまうと、産業廃棄物処理業者がマニフェストの虚偽記載容疑で刑事罰の対象となってしまいます。

「たかが日付」と軽視し、発注者の要望に応えてあげるつもりで、処理終了年月日を改ざんすることは絶対にやってはいけません。

とはいえ、法的には絶対にやってはいけない行為ですが、目先の売上げのためには発注者の意向を全く無視することはできません。

そのため、受注者ができることは以下の2つ。

「発注者に契約期間内にマニフェストが返ってこなくても問題ない旨を説明」するか、
「発注者の求めるとおりにマニフェストの虚偽記載を行う」か、

どちらの手段を取ったとしても、発注者が法的に罰を与えられることはありませんので、受注者側の価値観で決定するしかありません。

もちろん、筆者としては、マニフェストの虚偽記載は絶対にやっていただきたくはありませんが。

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