「竹」は一般廃棄物か産業廃棄物か

山梨県のHPを参照中に、興味深いページを偶然見つけました。

竹草の取扱いについて

 建設工事に伴い発生する廃棄物である伐採竹や草(以下「廃竹草」といいます。)について、「産業廃棄物、一般廃棄物のどちらに該当するのか」といった問い合わせが、公共工事発注者や建設工事請負業者等から当課に寄せられることがありますが、竹草は発生工程に関わらず「一般廃棄物」に該当します。

行政職員だった時に「竹」の定義に関する質問をされたことは無かったため、今まで頭を悩ませた経験がありませんでしたが、言われてみると、「竹」は「木」なのか「草」なのかの区別がなかなか困難です。

恥ずかしながら、「竹は直立して自生しているので、木なんじゃね?」と、この記事を執筆する寸前までそう思っていました。

Wikipediaで検索してみると、竹は「イネ目イネ科タケ亜科に属する植物」で「木本(木)のように茎(稈)が木質化する種の総称。」とのことです。

原典が確認できないため、Wikipediaからの転載は控えますが、
植物学の専門家の間でも、「竹が木か草か」の議論は決着がつかないようです(笑)。

「竹は木のようで木でなく、草のようで草でなく、竹は竹だ!」と力説する「世界の竹博士」が京大にいらっしゃったそうです。

「竹は竹だ」は至言と思いました。

「竹は産業廃棄物でも一般廃棄物でもなく、竹だ!」というのがもっとも正確で、誠実な分類ではないかと感じました。

さて、法律(施行令)の条文上は、
産業廃棄物の「木くず」とは、廃棄物処理法施行令第2条第二号で、

木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)

と、
「木くず」としか書かれていませんので、「木のくず」だけが産業廃棄物になり、「木以外のくず」は一般廃棄物になると解釈するしかない表現です。

そのため、「道端に生えている雑草」は木でない以上、産業廃棄物の木くずにはなり得ないことがわかります。

また、「竹」は「木そのもの」ではありませんので、「竹は木くずにあらず」という整理は、論理的には間違っていないと言えます。

しかしながら・・・

「竹」を一般廃棄物として処理する場合、市区町村では手に負えないことがほとんどです。

そのため、発生場所の市区町村内の一般廃棄物処理業者に委託するしかないわけですが、都合良く最寄りの市区町村すべてに竹を処理できる一般廃棄物処理業者がくまなくいるわけでもありません。

竹(の茎)は木と同様の硬さがありますので、木くずを処理する産業廃棄物処理業者が扱う方が、世の中全てにとって合理的なのは間違いありません。

「竹」を「一般廃棄物」としか分類できない条文の現状は、明らかに「片手落ち」ですので、こういう時こそ、「環境省の通知」の出番です。

個人的信条としては、通知を金科玉条のように奉ることを好みませんが、法律をいじることなく、柔軟な行政解釈を可能とする通知はこういう時のために存在する手段です。

心ある環境省職員の方、是非とも「竹」に関する真っ当な解釈を通知で示してくだされ~

真面目な法律論の話では全くありませんが、
「産業廃棄物処理業者が処理可能な木くず」の定義としては、
「木以外のすべてを排除する木くず」ではなく、
「武器として使用可能な植物性の廃棄物」が良いと思いました(笑)。

あるいは、施行令を改正し、「木竹くず」と「竹」の一字を追加するだけでも良さそうです。

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