2010年廃棄物処理法改正の解説(6) 廃棄物処理施設に関する情報公開

10月15日に発行したメールマガジンを転載します。

 メルマガでお伝えするのが遅れましたが、10月7日から、政省令改正に関するパブリックコメントの募集が始まりました。

 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13007

 新たに追加された内容もありますが、概ね、それまでに公開されていた素案とほぼ同様です。

 パブリックコメントの募集は11月8日(月)までですので、意見を提出したい方はお早めに環境省まで!

 ここからメルマガ本文を開始します。

 第6回目は、廃棄物処理施設に関する情報公開について解説します。

 タイトルは「廃棄物処理施設」でしたが、今回解説する法律改正の対象は、廃棄物処理施設全般ではなく、非常に狭く限定されることになります。

 具体的には、
 一般廃棄物処理施設の場合は、「焼却施設」と「最終処分場」
 産業廃棄物処理施設の場合は、「焼却施設」と「石綿溶融施設」と「PCB処理施設」、「最終処分場」 のみが対象となる改正です。

 一言で言うと、焼却や埋立処分場など、環境負荷が大きい施設に対する規制が強化されることになります。

 今回の法律改正によって、上記の6つの施設を設置した事業者には、

 「行政から定期的に施設の検査を受ける義務」と

 「『廃棄物処理施設の維持管理計画』と『廃棄物処理施設の維持管理状況』
  を、インターネット等で公表する義務」

 という2つの義務が加わります。

 逆に言うと、上記の6つにあてはまらない施設、例えば日量10トンの木くず破砕機などの場合は、検査を受ける義務や維持管理状況を公表する義務が無いということになります。

 2つの義務を具体的に解説します。

 「定期的な検査の受診義務」については、読んで字のごとく、施設の設置者に、行政に対して、5年に1回は「ウチの施設を検査をしてください」と申し出ることを義務付けるものです。

 事業者に「検査してください」と言わせるのも少し変な気がいたしますが、この改正の狙いは、行政に管轄内の廃棄物処理施設の操業状態を把握させることにありそうです。

 それなら、行政の義務として規定をすれば良さそうなものですが、そうなると国会で審議が必要な法律改正事項になりますので、政府内で簡単に変更できる政省令改正に盛り込んだのでは?と邪推しています(笑)

 環境省の思惑がどうあれ、事業者の正式な義務として規定がされる以上、今まで以上に、維持管理記録や帳簿の管理を徹底して行う必要があります。

 次は、「維持管理状況などの情報公開」についてです。

 具体的な公開するべき情報としては、

「処分した廃棄物の月ごとの種類及び数量等、法第8条の4に基づき記録し、処理施設に備え置かなければならない事項(過去3年分のもの)」となりそうです。

 情報の具体例を挙げると、焼却施設における「排ガスの燃焼温度」など、施設の日々の運転記録をそのまま公開することになりそうです。

 情報公開は、インターネットその他の方法で行うことになりますので、

 「情報の取りまとめ」「公開できる形に情報を加工(ねつ造ではなく)」
 「情報のアップロード」

 という、非常に煩雑な事務作業が必要となりそうです。
 
 逆に、システム会社は大儲けできるかもしれませんね(笑)。

 もっとも、インターネットでいちいち公開してられないという企業の場合は、直接会社に来ていただいて、直接記録を見ていただく方法でも良くなりそうです。

 いずれにせよ、廃棄物処理施設を設置した事業者にとっては、「外からの目」を常に意識した操業が、ますます必要となります。

 情報をねつ造して、嘘の情報を公開したとしても、直接刑事罰に問われることはありませんが、そうした場合、企業としての信頼は地に堕ちることになります。

 今まで以上に、「社会からどう思われたいか」が、企業の重要な行動指針となりそうです。

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