平成23年2月4日付課長通知の解説(5) 最終処分場の維持管理

平成23年2月4日付で環境省から発出された「環廃対発第110204005号、環廃産発第110204002号」の解説です。

今回は、「最終処分場の維持管理」についてです。
http://www.env.go.jp/recycle/waste_law/kaisei2010/attach/no110204005.pdf

第五 最終処分場の適正な維持管理の確保
1 維持管理積立金の積立て義務違反への措置
 廃棄物処理施設の設置の許可を受けた者が維持管理積立金を積み立てていないときは、都道府県知事は当該者の廃棄物処理施設の設置の許可を取り消すことができることとされたが、当該規定は、維持管理積立金の積立て義務の着実な履行を担保するために設けたものであり、必ずしも当該義務を履行していない最終処分場の設置者の許可を取り消さなければならないものではないこと。

2 許可の取消しに伴う措置
 廃棄物の最終処分場の設置の許可が取り消されたときは、当該許可を取り消された者又はその承継人(以下「旧設置者等」という。)は、法第9条の2の3第2項又は第15条の3の2第2項の規定に基づく最終処分場の廃止の確認を受けるまでの間、定期検査の受検、維持管理基準の遵守、維持管理計画及び維持管理の状況に関する情報の公表、維持管理に関する事項の記録及び閲覧、周辺地域への配慮、技術管理者の配置、事故時の措置の義務を負うとともに、改善命令、報告徴収及び立入検査の対象となることとしたこと。
 「承継人」とは、以下の①~③のいずれかに該当する者をいうこと。
① 法第8条第1項又は第15条第1項の許可が取り消された廃棄物の最終処分場(以下「旧廃棄物最終処分場」という。)を譲り受け、又は借り受けた者
② 旧廃棄物最終処分場の設置者であった法人の合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該旧廃棄物最終処分場を承継した法人
③ 旧廃棄物最終処分場の設置者であった者について相続があったときの相続人
 また、旧設置者等は、法第9条の2の3第2項又は第15条の3の2第2項の規定に基づき、あらかじめ当該最終処分場の状況が法第9条第5項(法第15条の2の6第3項において準用する場合を含む。)に規定する技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができることとしたこと。

3 最終処分場の設置者であった者等に係る維持管理積立金の取戻し
 維持管理積立金を取り戻すことができる者を、最終処分場の設置者又は設置者であった者若しくはその承継人(これらの者が法人である場合において、当該法人が解散し、当該最終処分場を承継する者が存在しないときは、当該法人の役員であった者を含む。)としたこと(法第8条の5第6項及び第15条の2の4)。
 法人の役員については、最終処分場の維持管理義務を直接負うものではないが、自主的に維持管理を行う場合が想定され、そのような場合には当該最終処分場の維持管理を行う範囲において維持管理積立金を取り戻せることとしたこと。
 旧廃棄物最終処分場の維持管理を行う場合において、維持管理積立金の取戻しの申請をするときは、維持管理の内容を記載した書面、経費の明細書、維持管理を行うことを証する書面及び申請者が設置者であった者若しくはその承継人(これらの者が法人である場合において、当該法人が解散し、当該最終処分場を承継する者が存在しないときは、当該法人の役員であった者を含む。)であることを証する書面(閉鎖事項証明書等)を添付するものとしたこと(規則第4条の15及び第12条の7の13)。
 また、設置者であった者若しくはその承継人(これらの者が法人である場合において、当該法人が解散し、当該最終処分場を承継する者が存在しないときは、当該法人の役員であった者を含む。)は、旧廃棄物最終処分場の維持管理を行うために必要な範囲内において、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)に対し、当該旧廃棄物最終処分場に係る維持管理積立金の額を照会できることとしたこと(規則第4条の16第2項及び第12条の7の14第2項)。

4 行政代執行に係る維持管理積立金の取戻し
 市町村長又は都道府県知事が法第19条の7又は第19条の8に基づき自ら生活環境保全上の支障の除去等の措置を講じた場合において、当該措置が特定一般廃棄物最終処分場又は特定産業廃棄物最終処分場の維持管理に係るものであるときは、市町村長又は都道府県知事は、当該維持管理の費用に充てるため、維持管理積立金を取り戻すことができることとしたこと(法第19条の7第6項及び第19条の8第6項)。
 この場合、市町村長又は都道府県知事は、あらかじめ、特定一般廃棄物最終処分場又は特定産業廃棄物最終処分場の設置者等及び機構へ通知しなければならないこと。この通知については、以下に掲げる事項を記載した文書に、維持管理に係る支障の除去等の措置の内容を記載した書面及び経費の明細書を添付したものを交付して行うこと。
① 設置者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
② 当該特定一般廃棄物最終処分場又は特定産業廃棄物最終処分場に係る許可の年月日及び許可番号(許可が取り消されている場合には、当該許可の取消年月日及び取消前の許可番号)並びに所在地
③ 取り戻そうとする維持管理積立金の額

5 経過措置
 廃棄物処理施設の設置の許可を受けた者が維持管理積立金を積み立てていないときは、都道府県知事は当該者の廃棄物処理施設の設置の許可を取り消すことができることとされたが、平成23年度以降に積み立てられるべき維持管理積立金の積立て義務に違反した場合にのみ廃棄物処理施設設置の許可の取消事由となるものであること(改正法附則第3条第2項)。
 また、旧廃棄物最終処分場の維持管理義務については、平成23年4月1日以降に廃棄物処理施設の設置の許可の取消しを受けた者にのみ適用されるものであること(改正法附則第3条第3項)。
 旧廃棄物最終処分場の維持管理に係る支障の除去等の措置を講じた市町村等又は都道府県知事による維持管理積立金の取戻しについては、平成23年4月1日以降に行った旧廃棄物最終処分場の維持管理に係る支障の除去等の措置についてのみ適用されるものであること(改正法附則第9条)。

※ 解説

最終処分場を設置した事業者のみに関係する改正なので、実務的に関係がある人は少ないと思います。

そのため、改正がされた背景を解説すると、

最終処分場は、埋立完了後も、排水などを管理し続ける必要がありますので、
埋立完了後は、売り上げが無いのに、経費ばかりが出ていくことになります。

その埋立終了後の管理経費として、「維持管理積立金」を、毎年積立てることになっています。

2010年改正以前は、維持管理積立金を取り崩すことができる者は、その積立を行った者のみでした。

しかしながら、最終処分場を設置した事業者が、管理の手間や売り上げが伸びないことに音を上げ、最終処分場の管理責任を全うしないまま、廃業や許可取消を受けると、最終処分場を管理する者がいなくなります。

そのような場合は、市町村が最終処分場の維持管理を代行せざるを得ないケースが出てきました。

ここで問題となったのが、2010年改正以前は、維持管理積立金を市町村が取り崩せないということでした。

税金で民間事業者のしりぬぐいをしながら、本来はその財源となるべき積立金は一切取り崩せないというのはあまりにも不合理
ということで、2010年改正で、管理を代行した市町村も積立金を取り戻せることになりました。(上記の4の部分)

その他、2の最終処分場の設置許可が取り消された場合に、誰が管理義務などを承継するのかという規定も
実務的には重要なポイントです。
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