廃棄物処理制度専門委員会(第2回)の傍聴記

2016年6月15日に東京で開催された、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)(第2回)を傍聴してきました。

※配布資料は、「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第2回)の開催について」に掲載されています。

今回の専門委は、「関係者からのヒアリング」として、
・一般社団法人日本建設業連合会
・東京都
・公益社団法人全国産業廃棄物連合会
の3者から、現状と改善が必要と思われる点の開陳後、各委員が質問を行うという順序で進められました。

そのため、環境省サイドは今回はほぼ無言というか裏方に徹しており、会合の最後で、前回(第1回)に委員から寄せられた質問に対する回答集の説明をしただけです。

環境省の説明や発言が無いだけに、各委員の力量や識見の差が質問内容によく現れていたという印象です。

非常にわかりやすく言い換えるならば、「ボケ役不在のため、ツッコミ一辺倒の漫才を見せられた」というのが正直な感想です。

もちろん、専門委はエンターテイメントではありませんので、「漫才に例えるお前がおかしい!」という批判は甘受いたします(笑)。

note個々の委員の方の個人的な識見は非常に高いのは間違いありませんが、廃棄物処理法の規制内容や委託実務に関しては素人レベルの識見しかない人が大半を占めているということがわかりました。

名指しはいたしませんが、「優良認定の振興策」に関し、とんでもない暴論を吐いていた学者の方がいたようないないような・・・

B5ノートの4pをせっせと議事録のメモに費やしましたが、先述したとおり、ほとんどの委員の質問が、本質とは無関係の個人的な疑問に過ぎないレベルでしたので、個別の質疑内容は取り上げないことにします。

以下、各関係者の意見に対する、筆者の個人的感想を記しておきます。

一般社団法人日本建設業連合会

・良かった点

  1. 「要望事項」が現実的、かつ抑制的
  2. 「電子マニフェスト制度の強化はこの問題(筆者注:「不適正処理」を指す)の解決には寄与しないと考える。」と、遠慮なしに直言
  3. 建設現場における「自ら利用」を進める際の支障(ボトルネック)を数多く列挙

トップバッターということもあり、大塚部会長から「説明を早めに切り上げてください」と、話の腰をバシッと折られる不幸にもめげず、説明をやり遂げられました。
※説明者は竹中工務店の方。

ただ、先述しましたが、委員の方の大半はこの分野の識見が無い人だけに、説明で使った用語が若干高度すぎたかもしれません。

資料作成の際には相手の顔や力量がわからない状態ですので、それも致し方ない部分がありますが、「中学生でも理解できる」程度の表現に統一する必要がありそうです。

東京都

資料には「廃棄物処理制度の課題」が数点挙げられていますが、説明時間としては、そこよりも東京都の独自制度の紹介が多い印象でした。

勝手な個人的印象としては、「ずいぶん弾力的に法律解釈しているのだなあ」と思いましたが、東京都の窓口レベルでは硬直的な指導をしているケースも聞きますので、説明をした部長さんの理念や個人的見解が混じっているのかもしれません。

公益社団法人全国産業廃棄物連合会

・良かった点

  1. 要望項目が現実的、かつ多岐に渡る
  2. 「特定不利益処分を受けた優良認定業者に対してはその認定を速やかに取り消す措置を創設」等、自業界にとって不利になりかねない内容を自ら挙げている

ただし、要望の中には、地方公共団体独自の規制に対するものが多く含まれていますので、環境省に言っても仕方が無い面があります。

もっとも、苦情を言う相手が他に無いのも事実ですが(苦笑)。

その他若干の苦言を呈させていただくならば、
「優良認定のメリットを増やしてほしい」「委託基準の強化をしてほしい」「研修・講習への公的支援を検討してほしい」等は、国へ「乳母日傘(おんばひがさ)」のおねだりをしているように見えました。

今回は詳しくは書きませんが、「優良認定」という用語を作ってしまったことが、環境省最大の失敗だったかもしれません。

税金の滞納が無いと優良なのでしょうか?
行政処分を受けていない業者はすべて優良なのでしょうか?

いずれも、法治国家では当然の嗜みであり、優良性とは無関係な結果です。

どうも、業団体のみならず、環境省、そして排出事業者も、優良という言葉で思考停止に陥っている感じがいたします。

次回の専門委は、6月30日(木)に開催されるとのことです。

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