プラスチック資源循環促進法の狙い(第1回)

2年越しのプラスチック資源循環促進法の逐条解説がようやく終了しました。

逐条解説は細切れ過ぎるためか、当ブログ内でもほとんど閲覧されない不人気ページです(涙)。

とはいえ、逐条ごとに読み込みを行った最も大きな理由は、自分自身の勉強のためでしたので、その目的だけはかなり達成できたように思います。

逐条分析を終えた後で再び制度趣旨や概要を読み返してみると、新たな気づきがありましたので、「バズる」ことを目標に(笑)、より一般向けな記事を書いてみたいと思います。

さて、その栄えある第1回目の更新は、「プラスチック資源循環促進法の狙い」についてです。

「プラスチック資源循環促進法の概要」を示す図としては、下記の「法律の概要」が一般的ですが、

この図の場合、制度趣旨や対象者の説明が詰め込みすぎの感があり、逆に内容が理解しにくくなっています。

そのため、今回の記事では、経済産業省と環境省が制作したパンフレットに掲載されている、「制度の概要」の方を紹介します。

こちらの図表の場合、「法律の対象物」と「対象者」が簡潔にまとめられていますので、似たような制度名称のせいで混乱しがちな理解の整理に役立つものとなっています。

私の場合は、この図表を見たことで、「設計・製造」から「排出・回収・リサイクル」、そして「(設計・)製造」への再環流という、一連の制度設計思想に初めて気がつきました。

最初にお示しした「一般的な法律の概要」にも、リサイクルから製造への環流を示す矢印が付けられていますが、他のゴチャゴチャとした説明に埋もれてしまっているため、せっかくの制度設計の思想が伝わりにくくなっています。

この「矢印のサイクル」こそが、プラスチック資源循環促進法の制度設計の根幹であると、個人的には確信しています。

すなわち、
「設計」段階から、資源としてのプラスチックを循環させるための配慮をし、
その「設計」に基づいた「製造」を進めることで、無駄なプラスチック廃棄物の発生を抑制するとともに、
「販売や消費者への提供」の際にも、極力無駄な廃棄物が出ないように、「使用の合理化」を図る、
そして廃棄物となった物は、市町村その他の当事者により、適切に「回収」を行い、「原材料として加工」をしてから、「製造」に戻す、
という一連のサイクルの成立を目指すものとなります。

これまでの個別リサイクル法の場合は、「回収」と「リサイクル」を重視したものが多い中、
「設計・製造」を含めたすべてのサイクルを守備範囲としたところが、プラスチック資源循環促進法の独自性と言えるのではないでしょうか。

「制度設計の思想」という観点からすると、「部分最適」から「全体最適」に舵を取った初めてのリサイクル法と捉えることもできるでしょう。

後の記事で、「本当に全体最適が図れているか?」についてツッコミを入れていく所存ですが、少なくとも、立法の時点で「全体最適」に着目した点については、是としたいと思っています。

(つづく)

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