廃プラスチックの輸出状況(2009年3月現在)

昨年後半に急失速した廃プラスチックの輸出ですが、今年に入り復調の兆しを見せ始めました。

今年の2月以降、PE、PS、PVC、PETなどのすべての廃プラスチックにおいて、輸出量が2か月連続で増加し続けました。

特に、PETくずなどは前年同月比で8.6%増と、好調だった2008年度前半の輸出量を上回る盛況ぶりです。
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廃プラスチックの輸出量「だけ」を見ると、今年の廃プラスチックの輸出量は、前年同月時の輸出量を既に上回っています。

にわかには信じがたい話かもしれませんが、財務省が毎月発表する「貿易統計」によって、具体的な統計結果が発表されています。

財務省貿易統計

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この話を聞いても

「え 今って、世界的な経済不況じゃなかったの!?」

「輸出量が増えている割には、倒産する輸出業者が増えているのはなぜ?」

という疑問を抱いた方がほとんどではないでしょうか。
統計はあくまでも数字を集計したものにすぎず、それをどう解釈するかによって、情報の活かし方が大きく変わってきます。

統計を解釈する際に必要なものの一つとして、「現場感覚」を挙げることが可能です。

上述した疑問は、日々廃棄物と向き合っている方が、自分の目と耳で収集した情報に基づく「現場感覚」です。

それは、貿易統計というデータを解釈する際にも大いに役立ちます。

では、今度は現場感覚の正しさを実証するため、輸出量とは別の指標に着目してみましょう。

貿易統計では、輸出量の他に、輸出価額(value)が公開されています。

valueは、一ヶ月間にある国へ輸出したプラスチックの輸出価額の総額ですので、このまま見てもあまり役には立ちません。

輸出量が多い国と少ない国がありますので、輸出価額の総額を単純に比較しても、あまり意味がないからです。

そこで、輸出量の多寡にかかわらず、輸出価額を比較するために、輸出単価を算出してみました。

valueの単位は「千円」なので、
value×1,000円÷輸出数量(kg)=「1kgあたりの輸出単価」となります。

これなら、輸出量の多寡にかかわらず、輸出市場の世界的な状況を知ることができます。

そうやって、廃プラスチックの輸出単価を算出し、今年の輸出単価と昨年のそれとを比較すると

すべての廃プラスチックにおいて、今年の輸出単価は昨年よりも1kgあたり20円以上安くなっています。

vsu.jpg 1kgあたり20円の差ですから、1tになると2万円の差になります。
この差は非常に大きいですね。

原油価格が安いので、手間ひまをかけてプラスチックをリサイクルするよりも、ヴァージン原料を使用する方が安上がり

ますます 廃プラスチックのリサイクル需要が減少

高値では輸出できないので、値段を下げて廃プラスチックを輸出するしかない・・・

これが、輸出量急増の裏で、輸出単価が伸び悩んでいる原因なのです。

廃プラスチックの輸出事業者は、昨年夏の最盛期時の貯金を取り崩しながら、現在は採算ギリギリで出荷し続け、市況の回復を待つという、消耗戦を強いられています。

廃プラスチックのみならず、スクラップや古紙も同様の状況です。

体力が無い企業から順番に倒れているのが現実です。

輸出単価等はジワジワとしか上がりませんので、リサイクル資源が適正価格に戻るまでには、もう少し時間が必要となりそうです。

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