産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成20年度)

2010年2月15日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成20年度)
について」が発表されました。

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12126

環境省の発表内容によると、

1.平成20年度に新たに発覚した不法投棄の件数は308件(前年度より74件減少)
不法投棄量は20.3万トン(前年度より10.1万トン増加)。

2.平成20年度末時点の不法投棄等の残存件数は2,675件(前年度より78件減少)
残存量の合計は1,726万トン(前年度より92.3万トン増加)  でした。

経年変化をグラフで眺めると、2001(平成13)年以降、投棄件数が着実に減少しています。

ただし、投棄量は、前年度より倍増していることに注意が必要です。

環境省の発表で「つっこみどころ」として秀逸?な部分は、不法投棄実行者の内訳です。

不法投棄の実行者の内訳は、件数別にわけると、
排出事業者が149件(48.4%)
実行者不明が71件(23.1%)
無許可の産業廃棄物処理業者(無許可業者)が30件(9.7%)
複数によるものが28件(9.1%)
産業廃棄物処理許可業者(許可業者)が23件(7.5%) でした。

赤字で書いてみましたが、「無許可の」産業廃棄物処理業者とは一体なんなのでしょうか!?

本来、産業廃棄物処理業者とは、廃棄物処理業の許可を有した事業者のみを指すのであり、許可を持たない事業者は、単なる「モグリ」です。

「無許可産業廃棄物処理業者」というのは日本語ではありません。

不法投棄実行者のうち、本来の意味の処理業者である許可業者によるものは、たったの7.5%しかないわけですので、廃棄物処理業者が不法投棄をしているかのように表現するのは大きな間違いです。

意図的にやっているのかどうかはわかりませんが、環境省の意識の底流には、産業廃棄物処理業者をブラック業界として捉えているところがあるように見受けられます。

しかしながら、今回の廃棄物処理法改正では、従来見られた「処理業者への締め付けを強化しておけば良い」という単調な姿勢ではなく、排出事業者に対して刑事罰を含めた厳しい姿勢で臨むつもりのようです。

このあたりの核心部分は、3月4日のセミナーで詳しく解説する予定ですが、日本における社会的な意識としては、今後排出事業者責任が強化されていくことは間違いなさそうです。

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