産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和4年度実績)
2025年3月27日に、環境省から、「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和4年度実績等)について」が発表されました。
1.産業廃棄物処理施設の設置状況(≒日本全体の産業廃棄物処理能力)
令和4年度の産業廃棄物処理施設設置許可件数は、前年度よりも178件増加しました。
増減の主な内訳は、
中間処理施設が前年度よりも195件増加
最終処分場が前年度よりも17件減少
となっています。
前年度よりも許可件数が増えた施設は下記の7施設です。
「廃油の油水分離施設(+2【前年度の施設数との比較、以下同様】)」
「廃プラスチック類の破砕施設(+65)」
「木くず又はがれき類の破砕施設(+146)」
「汚泥の焼却施設(+14)
「廃油の焼却施設(+13)
「その他の焼却施設(+8)」
「遮断型処分場(+1)」
2.産業廃棄物処理業の許可件数
事業者数ではなく「許可件数」ですので、一社で複数の自治体の許可を取得した場合、その許可件数がすべてカウントされることになります。
2015(平成27)年以降、許可件数は増加傾向にあり、令和4年度は「265,244件」でした。
都道府県のみならず、個別の政令市の収集運搬業許可取得が必要だった時代の、平成15(2003)年度の総許可件数「254,845件」を上回る件数となっています。
積替え保管をしない限りは、都道府県だけの許可取得で足りる現在の状況を考えると、産業廃棄物処理業への新規参入が年々増えているように思えます。
自主的に業許可を廃止する「廃止届」は2,169件と、前年度よりも227件増加しています。
既存業者の廃業もハイペースで進んでいるようです。
3.取消処分件数の推移
令和4年度の許可取消件数は、前年度よりも5件少ない219件でした。
欠格要件に該当した場合の「義務的取消」ではない、自治体に取消すか否かの裁量がある「裁量的取消」が年々減っているためではないかと思われます。
「(一般廃棄物処理業の)無許可営業」や「無許可変更」をした処理業者に対して、「許可取消」ではなく、「事業の全部停止〇〇日」という寛容な(?)行政処分を選択する自治体が増えています。
真面目な処理業者にとっては、あまり好ましくはない状況ですね。
4.最終処分場の状況
令和4年度は、最終処分場の残存容量(埋立可能な容積)が前年度よりも304万立法メートル増加しました。
その一方で、最終処分量は、前年度よりも20万トン増加し、902万トンでした。
その結果、最終処分場にあとどれくらいの期間埋立てられるかの目安となる「残余年数」は、前年度よりも0.1年短くなり、20.0年となりました。
その他
「法第19条の5に基づく措置命令」は8件と、前年度よりも13件減少しました。
特筆すべき事項としては、これまで発出件数がずっと0件であった、「法第19条の6に基づく措置命令」が茨城県から4件発出されました。
2025年3月末現在では、茨城県は廃棄物処理法第19条の6に基づく措置命令の内容を公表していませんので、具体的な内容はよくわかりませんが、条文の性質上、排出事業者に対して出されたことは確実です。
廃棄物処理法第19条の6に基づく措置命令は、排出事業者に委託基準違反が無かった場合でも排出事業者を措置命令の対象とする、極めて強い命令となりますので、命令を発出するに至った経緯と理由を公表していただくことを期待します。
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2025年3月31日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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