流木は一般廃棄物です

真面目に仕事に取り組んでおられる様子は伝わってくるのですが、法律を正しく理解すると、もう少し仕事がやりやすくなるはずです。
11月1日付け 読売新聞 和歌山地域版

回収100トン  流木どうしたら・・・
台風でさらにごみ60トン→→処理費不足 和歌山港湾事務所来年度まで野積み
美浜町の日ノ御埼沖や和歌山市の友ヶ島周辺の海域で大量の流木が漂流していた問題で、近畿地方整備局和歌山港湾事務所が、回収した木の処理に頭を痛めている。台風18号でも、膨大なごみが海に流れ込み、予算が不足する見込みになったためだ。今年度中の処理は難しく、敷地内に野積みにしたまま、来年度に持ち越される見通しだ。
第5管区海上保安本部の発表によると、9月下旬以降、紀伊水道などで約4300本の流木を確認、御坊市などの海岸に約2500本が漂着した。台湾方面から流れてきたとみられる。同事務所は9月29日から、海面清掃船「はりま」(199トン・6人乗り)で作業を開始。クレーンなどで、これまでに約100トン(約100本)を回収した。なかには、長さ約5メートル、直径約1メートルの大木もあった。
流木は細かく裁断し、和歌山市の施設で焼却する予定で、同市湊の同事務所敷地内に仮置きし、乾燥させていた。ところが、10月に台風18号が紀伊半島に接近。木片やプラスチックなどのごみ類が、河川などから大量に海に流れ込み、さらに約60トンを回収することになった。
同事務所のごみ類の回収量は、10月時点ですでに昨年度の倍となる約170トンに達しており、今年度中に、処理費用が予算化された量(約240トン分)を大きく上回るのはほぼ確実。比較的小型で、処理しやすい台風関連のごみを優先的に処理すると、流木は来年度以降に後回しにせざるを得ないという。
一方、同事務所には「流木アート」の制作者らから「譲ってほしい」といった問い合わせもあるが、譲渡は難しい。回収物は産業廃棄物の扱いとなり、もし、譲った先が不法投棄した場合、同事務所も責任を問われることになるためだ。
同事務所は「海外からの大量の漂着物は想定外。処理することも譲渡もできないので、予算が付くまで、管理に気を使います」と話している。

港に漂着した流木その他の廃棄物の処理責任は、その港を管理している者に帰属しますので、近畿地方整備局和歌山港湾事務所が、廃棄物処理費を予算計上して、鋭意廃棄物の回収などに取り組んでいるわけです。
港湾管理者が集めた流木は、「びわ湖岸に漂着した廃棄物の処理責任は誰にある?」で解説した通り、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物になります。
そのため、廃棄物処理法の原則からすると、港に漂着した流木は、港が位置する市町村の廃棄物処理施設に搬入する必要があります。
しかしながら、流木などの場合は、焼却炉へ投入するのに適さない形状のものが多いため、そのままの状態では、市町村が受け入れてくれないことが多々あります。
廃棄物処理法上、一般廃棄物を産業廃棄物処理施設で処分することは違法なのですが、流木のような大型の廃棄物の場合は、市町村自身が、「産業廃棄物処理業者に搬入してください」と指示することがあります。
その結果、一般廃棄物であるにもかかわらず、産業廃棄物の木くずとしてマニフェストを発行し、産廃処理業者のところへ搬入されることになります。
このような措置、法律上は違法ですが、現実問題としてこのように処理するしかないため、誰も違法性を指摘することはありません。
こうした問題を根本的に解決するためには、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の区分を、より現実に即した形で法律改正する必要があります。

また、流木アートの制作者からの「流木が欲しい」というリクエストに対しては、不要になった流木が不法投棄されないよう、「誓約書」などに署名をさせた上で、無料であげればよいのではないでしょうか。
無理やり廃棄物として処理するよりは、アートとして活用してもらった方が、社会的にも望ましい再利用になると思います。
肝心なことは、不法投棄されない仕組みを考えることだと思います。

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