神事への畏敬の念はどこに
一年の無病息災を祈り、しめ飾りやお守りなどを燃やす神事の場所に、廃家電などの家庭ごみを捨てる人が多くなったというニュースです。
不法投棄対策として、不法投棄現場に小さな鳥居を設置すると、不法投棄が減ったという報道が過去あったのですが、神事の場にごみを平気で捨てる人が増えたのであれば、いずれ鳥居の効果も無くなるのかもしれません。
ごみを平気で捨てられる理由としては
- 「神事」の場であることを理解していなかった
- 廃家電は燃えて無くなるものだと思っていた
- 単なるごみ捨て場と認識していた
と色々な可能性が考えられますが、ごみを捨てることに抵抗が無い人が増えているのは事実のようです。
日本は昔からごみが捨てられておらず、清潔な環境であったかというと決してそうではなく、現在のような衛生環境になったのは、昭和40年代以降と言えます。
もっとも、当時は現代ほど大量のごみが発生していませんでしたが、川や溝にごみを捨てる人が大半だったのも事実です。
40年かけて変わってきたごみに対する意識が、またもや昔の野放図な意識に逆戻りしつつあるのかもしれません・・・
さらに言うと、少なくとも、神事に対する畏敬の念という意味では、昔より現代の方が野蛮な状態に悪化していると言えそうです。
ここから初めて廃棄物処理法の話になりますが、
神事とはいえ、しめ飾りやお守りを燃やすことは違法ではないのか
という疑問があろうかと思います。
本来なら、構造基準を満たした廃棄物焼却炉以外で廃棄物を燃やすことは違法なのですが、左義長のように、古くからの慣習に根差した行事の場合は違法ではないと廃棄物処理法で明記されています。
廃棄物処理法第16条の2(焼却禁止)
何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 (略)
二 (略)
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
そして、政令で定めるものとして
廃棄物処理法施行令第14条(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
法第16条の2第3号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。
一 (略)
二 (略)
三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四 (略)
五 (略)
このように、明確に廃棄物処理法で「違法な焼却ではない」と決められています。
だから、神事でしめ飾りなどを燃やしても問題は無いのです。
ただし、神事にかこつけて廃家電などを燃やすというのは、もはや神事とは言えない行為ですので、そういった場合は違法な焼却として罰せられることになります。
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2010年1月20日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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