環境融資で焦げ付き多数発生

週刊ダイヤモンド 環境融資で焦げつきが多数発生 幕引き図る三菱東京UFJの責任

私の周囲でも、三菱東京UFJが融資した処理業者が倒産した実例があります。
「事実は小説より奇なり」で、その倒産事件は、最初の利払いを払う前に倒産という、事業計画がずさん過ぎる案件でした。

ただ、今回のような焦げ付きが発生した原因としては、融資担当者の不手際というよりも、2006年前後は銀行は融資先を必死に探していたため、融資担当者の持ち込んだ話に乗りやすかったという要因の方が大きいと思います。

その他、週刊ダイヤモンドの記事では、下記のような理由で産廃処理業者に対する融資が難しいと説明されています。

 銀行関係者によれば、産廃業者に対する融資はとかく難しいという。取扱量の変動が大きいことから、キャッシュフローが安定しにくく、さらに中小企業も多いためリスクを判断するのがきわめて難しいからだ。

実態は記事の内容とは少し異なります。
産廃処理業者に対する融資が難しいのは、取扱量の変動が大きいためではなく、「融資担当者が産廃処理事業を理解できない」ためです。

実態は、景気変動を除けば、廃棄物の取扱量が日々激変する方がまれです。
各処理企業は、それなりの数の顧客を抑えており、ある日その取引がすべて停止するという可能性はほとんど無いからです。

「キャッシュフローが安定しない」というのも、普通の(処理)原価計算をしている企業ならば、ほとんど当てはまらない話です。
廃棄物処理企業の場合は、廃棄物の受入れ量を増やせば「売上高」が上がり、外部への委託量を減らせば「経費」が節約できるという、通常の商流とは逆の商流となっています。

そのため、売上高のみを追求し、廃棄物を敷地内に大量保管するなどといった、野放図な経営がなされる素地が大きいのも事実です。

今後は、そのような前時代的な原価計算では、持続可能な企業活動が不可能になったのは言うまでもありません。
しかし、その一方で、原価計算ができない(あるいはあえてしない?)企業も多く、利益度外視のダンピング価格が横行し、まっとうな競争戦略が実行できないケースも多いです。

あと5年も耐え忍べば、そのようなダンピング企業は軒並み倒れているはずですが、そこまで我慢できる企業はそれほど多くないはずなので、ただの融資の焦げ付きに止まらない、根深い問題でもあります。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ