廃品の無許可回収業者の逮捕予定

11月1日付毎日新聞 廃棄物処理法違反:無許可で不用品回収 容疑で全国展開の業者逮捕へ

いよいよと言うべきか、
夏に問題化していたグローバルマネジメント社の廃品無許可回収に関し、同社の幹部が来週半ばにも逮捕される見込みとのことです。

本件に関し、既に東京キー局のTVから電話で2件取材がありました。

それで、まったく同じことを聞かれましたので、先にブログで回答しておきます(笑)。

TV局の方は、無許可回収の被害に遭った方の生の声を聞きたいようで、
「実際に被害に遭った方を紹介してもらえませんか?」と聞かれました。

残念ながら、当事務所では、被害者から被害の回復に関する相談を受けたことはありませんし、
あったとしても守秘義務があるので、メディアに勝手に紹介することは不可能です。

なので、この手の質問はもう終わりにしていただけると助かります。

さて、報道番組を手掛ける方からの取材では、
「なぜ、自治体はこのような悪質商法を放置しているのでしょうか?」というもっともな疑問がありました。

この質問にお応えするためには、
1.一般廃棄物処理業の許可制度
2.一般廃棄物処理業に新規参入することは現実的にほとんど不可能
3.自治体職員の法律的知識の不足(不足というよりは、皆無!?)
4.廃棄物担当部局は、不法投棄の取り締まりはしても、悪質商法に臨むと及び腰になりがち

ということを、順を追って説明しなければなりません。

特に、「3」と「4」の部分が大きなネックとなっており、
「無償回収なら廃棄物回収ではない」とか、
「古物商の一環で回収をしているから合法」という、
噴飯ものの法律解釈が、自治体担当者から公然と聞かされることが多くなっています。

名前はあげませんが、ある審議会で、環境省の(官僚として)高いポジションにある方が、
「廃品回収は悩ましい問題で、合法か違法か判断しがたく、国としても対応を憂慮しています」と、語っていました。

この発言、審議会の趣旨とは無関係な質問に対する回答なので、ひょっとすると公式の議事録には掲載されていないかもしれませんが、私はこの耳で聞きましたので、真実です。

「悩ましい」というのは何に対して悩ましいのか不明です。

違法か合法かはっきりしている以上、対応は「取締り」という一つしかないはずです。

無償で回収ということは、値段を付けて買い取ってもらえないものであり、廃棄物として扱うのが当然です。
廃棄物の処理費がたまたま無料だっただけの話で、無料だから廃棄物ではないという解釈は本来あり得ません。

また、古物商の許可を持っていたら合法というのも、法律の間違った解釈です。

古物営業法でいう「古物」とは、「使用のために取引された物品」ですので、廃棄のために取引された物品は対象となりません。

まぁ 法律的な建前を並べ立てるよりは、
「無料で廃品を引き取ってくれるようなうまい話があるわけがない」ことだけを知っていれば十分です。

某局からの取材でも、
「この手の業者と付き合うには、何に注意すれば良いのでしょうか?」と質問されましたので、

「モグリ業者との付き合い方に気を付けるよりも、付き合わないようにするのが鉄則です」と回答しました。

廃品回収を合法的に行う唯一の方法は、

回収を行うエリアの全ての市町村長から
一般廃棄物収集運搬業の許可を取ることです。

現実的には、一つの市町村ならともなく、
県域全体の市町村の許可を取ることは不可能ですので、

廃品回収を広域的に行うことは事実上不可能です。

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